12話 ゾディアック・オメガバスティオン。
12話 ゾディアック・オメガバスティオン。
圧縮されすぎたエネルギーが、不気味な沈黙を保ったまま脈打っている。
――それを見て、センキーは、
思わず乾いた笑いを漏らした。
「うわぁ……オメガバスティオンも使えるんですねぇ……」
軽口のような言葉とは裏腹に、内心では、
胃の奥がひっくり返るような感覚が広がっていた。
「勘弁してほしいぜ……全体的に……」
心底しんどそうに、そうつぶやきつつ、
センキーは、ゆっくりと呼吸を整えた。
丹田に力を込め、魔力とオーラの流れを強引に一本にまとめていく。
合体状態特有の不安定な波形が、体内で軋み、軋轢を生む。
自身もオメガバスティオンを使うための準備を開始する。
だが、感覚が鈍い。
魔力が、いつもより遠い。
まるで、身体と心の間に、薄い隔壁が挟まっているかのようだった。
その様子を見て、バーチャは、楽しげに、口角を上げた。
「不安定な合体状態では、アルカナムすら使えないと思うぞ」
「あー、そうっすねぇ……使える気がしないっすねぇ……正直、普通のオメガバスティオンすら使えるか微妙……けど、合体をといたら、数値が下がりすぎてなぁ……もう、えぐいわぁ……」
「ふふ……なあ、センエース。さっきからずっと、心がどんどん疲れていくのを感じないか」
その問いかけと同時に、
センキーの胸の奥に、鈍い重さが沈み込んだ。
「……そう……ですね……めっちゃ、心がしんどいっす」
精神の奥底が、じわじわと摩耗している。
ずっと感じていた。
このじくじくとした倦怠感。
「暴露のアリア・ギアス追加。……私は、ずっと、貴様に対して『イタズラな領域外の牢獄』を使っているのだよ。他にも、蝉原が回収していた『セブンスコール(大罪シリーズの結集兵器)』のスロースを運用し、貴様の心に攻撃を仕掛けている。他にも無数の『心を削る技』を使って、ずっと、貴様の心に圧迫をかけている」
淡々とした説明。
だが、その一言一言が、センキーの内面で、確かな実感と結びついていく。
集中力の欠落。
判断の遅れ。
意味もなく湧き上がる疲労感。
すべてが、意図された攻撃。
執念深く几帳面で病的な悪意。
「まあ、ぶっちゃけ、気付いていたけどねぇ……ってか、まあ、『やるよなぁ』って感じ」
軽く笑って見せながら、
センキーは、奥歯を噛みしめた。
平然を装わなければ、立っていられなかった。
バーチャは、ニタリと笑い、
「それだけ心に猛攻撃をくらっていながら、それでも折れる様子は微塵もない。くく……見事だよ、センエース。心から賛美を送ろう。貴様は……私の敵として、これ以上なく相応しい最大の壁だった」
「……光栄だね」




