10話 諦める気はないけど、頑張ったとて……
10話 諦める気はないけど、頑張ったとて……
(なに、ボケっとしてんだ。さっさとやれ。お前、特別なんだろ?!)
(コスモゾーンにハックをかけようとしても……相手がバックナンバーを抱えとる以上、どうしようもない……極端に例えれば、相手は制作側で、こっちは所詮プレイヤー。ワシがなにをしようと、修正パッチを当てられて終わりや……)
(いや、でも、みんな大好きな『スーパーバランスブレイカー』でいらっしゃる、あの噂のトウシ様なら……行けるよね? 俺を存分に使っていいからさぁ。なんだったら、死のうか? 絶死を積んでもいいよ。だからさぁ、どうにか……あのカスを殺していただけませんかね、お願いしやすよ、トウシ様)
(……)
(え、もしかして、マジで無理な感じ? え、じゃあ、どうすんの? 俺、あいつに勝てないよ? いや、もちろん、頑張るけどさ……諦める気は微塵もないけどさ……死ぬほど頑張るけれども……でも、俺単騎だと、『頑張ったとて』って感じだよ、現状。ね、どうすんの?)
(……マジでまいったな……どないしよか……)
(……)
喉の奥がひりつく。
唾を飲み込もうとしても、口の中は乾き切っていて、空気を噛むだけだった。
世界が、じわりと歪んで見える。
視界の端が暗く沈み、音が一拍遅れて届く。
(ほんまにやりようがない……四方八方、全部から詰められとる……)
絶望感に浸っていると、
そこで、バーチャが、
「さて……現状がいかに詰んでいるか、しっかりと理解できたかな? くく……たっぷりと、絶望してもらったところで……それでは、そろそろ死んでもらおうか」
その言葉が終わるより早く、
空気が爆ぜた。
距離という概念が、消失する。
次の瞬間には、視界いっぱいに『拳』があった。
『これまでは手加減していた』というのが一瞬で分かる、すさまじい速度の拳が飛んできて、
「げびはぁああああっ!!」
胸部を貫かれた。
衝撃が、痛覚を置き去りにして、先に内臓を揺さぶる。
肺が潰れ、息が抜け、思考が一拍止まる。
次の瞬間、遅れてやってきた激痛が、全身を白く塗りつぶした。
激烈な痛みの中に沈むセンキー。
――息が、できない。
――心臓が、跳ね上がる。
――身体が、自分のものじゃない。
その攻撃は、ただ痛いだけではなく、
「これは私のものなのでね……返してもらう」
胸の奥、もっと深いところを、鷲掴みにされた感覚。
『奪われる』という事実が、理解より先に本能を殴った。
(げっ! ワシが管理しとった『テラス』をとられたぁ! もしもの時は、どうにかアマテラス化させて、覚醒した『無限太陽』をセンキーに組み込もうと思っとったのに!!)




