2話 バックナンバー。
本日の2話目です。
2話 バックナンバー。
――田中家の多くは数字を名に持つ。
それは単なる呼称ではない。
個体番号であり、世代番号であり、演算権限の管理番号。
彼らはコスモゾーンに接続する正規ノードとして登録され、更新を受け、制限を課され、必要とあらば切り離される。
つまり田中家の『数字持ち』とは、仕様の内側で管理・運用される正規の演算端末。
「だが、貴様は違う。番号ではなく、役割を示すチートコードが刻まれている。貴様は、田中家が更新を重ねる以前の旧仕様――原型となる思想構造を、抑制や検閲を一切挟まずに保持した履歴個体だ。かつて田中家が採用していた、フィルタや安全機構が導入される前の演算規約が、そのまま貴様の内部に残されている。ゆえにバックナンバー。古い版が一部残っているのではない。古い版そのものとして、保存されている」
そして、その性質は同時に致命的な裏口でもある。
バックドアとは、正規の認証手続きや権限分離を経ることなく、深層権限へ直接到達できる経路を指す。
田中家がコスモゾーンにアクセスする際、本来は段階的な検証と制限が介在する……が、
「だが貴様には、それが存在しない。検閲も抑制も通さず、設計思想の根幹――最初期の権限層にまで、直接接続できる。貴様がバックドアと呼ばれるのは、隠された通路だからではない。入口として認識される必要すらないからだ。貴様をCPUとして活用すれば、通常は『強すぎる制限』によって実用に耐えない『自分は絶対に正しい』すら、制限なしで常時運用できる」
本来、この機能は厳重なフィルタと例外処理を通され、暴走しない範囲に封じ込められている。
「……? わ、わからない……あなたが……何を言っているのか……なにも……」
――一方的に流れ込んでくる言葉。
意味の分からない単語が、次々と重ねられる。
セイラには、なんのこっちゃ分からない。
理解しようとする前に、
思考そのものが置き去りにされている。
ポカンとしているセイラの頭を、
バーチャは、ガっと掴んだ。
指が食い込み、逃げ場を完全に奪う。
「それだけじゃない。裏吉の権限さえあれば、裏吉のバックアップである裏介を回収することも可能。つまり……『融合戦士センキー』の力を大幅に削ぐことができる。裏介がいなければ、共鳴融合は機能しないからな。別に、弱体化させなくとも、今の私が、そこのバカに負けることはありえないが……できることは全てやらせてもらう。その方が……絶望的だからな」
ここから先、これまで病的に仕込んできた伏線の数々が火をふいたり、ふかなかったりする……かも……




