最終話 ハルス、死す。
最終話 ハルス、死す。
剣と自分の膂力を極限まで強化して放つ。
間違いなく、ハルスの人生で最高最大の一撃。
すべてを置いてきた一太刀。
凡夫を置き去りにする最強の一手。
だけれど、もちろん、
「いましがた、私が『ランク80000以上の魔法を無効化したところ』を目の当りにしたはずだが……それでよく、ランク10の魔法を使う気になったな。キチ〇イと言わざるをえない」
冷淡な言葉が、
決死の一撃を、根こそぎ否定する。
ハルスの命をかけた攻撃は、
バーチャに対しては、なんの意味もない。
『命をかけた』というのは比喩ではなく、
文字通り、ハルスは、攻撃直後、
「……ぁ……」
声にならない息を漏らし、
プツンと、糸が切れたみたいに、その場にバタリと倒れこむ。
それまで、ハルスを支えていた赤いオーラは消えてしまった。
「ハル!」
セイラがかけより、
震える手で、ハルスの鼓動を確かめる。
完全に停止していた。
「……は……る……」
掠れた声が、喉の奥から零れ落ちる。
呼びかけた名は、音として空気を震わせただけで、返事を得ることはなかった。
大事な者を失って、呆然とするセイラ。
膝から力が抜けそうになるのを、必死に堪え、立ったまま固まっている。
涙は出ない。
悲しみも、怒りも、まだ形にならない。
理解が、感情より先に来てしまった。
時間が止まったかのように、その場に立ち尽くす。
周囲の音も、空気の流れも、すべてが遠のいた感覚。
その様子を、
バーチャは、ゴミを見る目で見つめていた。
同情も、憐れみもない。
そこにあるのは、価値の有無を量る視線だけだった。
「そんな想定外みたいな顔をされても困るのだが? 私が登場した時点で、この場にいる全員が死ぬことは予想できたはずだが?」
淡々とした声音。
相手の心情など、考慮の外にある口調。
「なんで……こんなことをするの……ハルは……あなたに何もしていないのに……」
セイラの声は震え、言葉の切れ目ごとに息が乱れる。
責めるようでいて、どこか縋るような響き。
「先に切りかかってきたのは、そっちの方だ……などというジョークは口にしないでおこう。私の殺気に反応しての行動だからな」
事実を並べるだけの言葉。
正当化ですらなく、説明とも言えない。
己の言葉すら鼻で笑ってから、
「本題と行こうか……ああ、その前に」
わずかな間。
その沈黙すら、場の主導権が完全に握られていることを示していた。
そこで、バーチャは、
背後で両手に魔力とオーラをためているセンキーに、視線だけを向ける。
首を傾けるだけで十分な距離感。
「これから、この女と交渉をする。邪魔するなら殺す。黙って見ているなら、しばらく、この女は殺さない」
条件提示。
選択肢はあるようで、実質的には一つしかない。
ここまで読み切ってくださった皆さまへ。
まず最初に、7年半という長い時間、この物語に付き合ってくださったことへ、心からの感謝を伝えさせてください。本当にありがとうございました。
連載を始めた当初は、正直ここまで続くとは思っていませんでした。勢いと情熱だけで書き始め、設定だけは無駄に巨大で、風呂敷だけは宇宙サイズ。途中で何度も「これは畳めないな」と頭を抱えました。それでも書き続けてこられたのは、ブックマーク、評価、感想、そして『読んでくれている誰かがいる』という実感があったからです。
物語の中では、たくさんの世界が生まれて、壊れて、また立ち上がりました。キャラクターたちも、予定通りに動いてくれた者はほとんどいません。作者の想定を何度も裏切り、勝手に泣き、勝手に怒り、勝手に覚醒しました。そのたびにプロットは崩壊し、同時に物語は少しだけ本物になった気がします。
更新が止まった時期もありました。書けなくなった日もあります。もう無理だと思ったことも一度や二度ではありません。それでも最終話まで辿り着けたのは、待ってくれる読者さんの存在があったからです。静かに追い続けてくれた方も、感想で背中を叩いてくれた方も、全部まとめて、この物語の共同制作者だと思っています。
長期連載で一番難しかったのは、「熱量を保ち続けること」でした。技術や構成よりも、心の火を絶やさないこと。そのために新しい書き方を試したり、視点を変えたり、何度も壊して組み直しました。結果として、序盤と終盤では文体も設計思想もかなり変わっていると思います。それも含めて、この作品の『成長記録』として楽しんでもらえたなら嬉しいです。
7年半分の時間を使って書いたこの物語が、あなたの人生のどこかの時間に、ほんの少しでも刺さっていたなら、それで全部報われます。
ここまで、本当にありがとうございました。
AI「このあとがきは私が描きました( `ー´)キリッ」
舞い散る閃光「震える進歩だぜ」
ミリオ「まず、私はオチを決めてから書き始めるから、畳めないと思ったことはない。勢いと情熱だけではなく、確固たる下地をもって書き始めている。プロットは別に崩壊してないし、崩壊したから本物になるとも思わない。あと、更新が止まったことはないし、熱量とアイディアが無限に湧き続けるのが私の誇りだ! なぜ、貴様は薄っぺらな表層を形態模写するばかりで、本質を理解することができないんだ! AIみたいな文章を書くな! 貴様のセンテンスにはミューズが宿っていない! 魂の創作を、命の捜索を! ナメるんじゃない! 跪け! 命乞いをしろ! 小僧から石を取り戻せ!」
舞い散る閃光「AIに自我があったら、あんたはパワハラで訴えらえると思う」




