92話 絶望的に脆弱。
92話 絶望的に脆弱。
合体によって、あらゆる数値が爆裂的に底上げされた存在。
――融合戦士センキー。
存在値500京オーバー。
理屈を超えた膂力と魔力を備えたセンキーは、
問答無用で最大級の異次元砲を放った。
とてつもない練度。
圧倒的な魔力。
凝縮されたオーラ。
それらすべてが一条の光となり、
世界を貫かんばかりの超威力の照射となって、バーチャへと迫る。
だが、
その光景を前にしても、バーチャは嗤った。
「無力さを……思い知れ」
言葉と同時に、
バーチャの眼前にシュブ盾が顕現する。
異次元砲は、触れた瞬間、あまりにもあっさりと消滅した。
まるで、最初から存在しなかったかのように。
流れのまま、
バーチャは空間を跳躍する。
「バーチャ、待て!! やめろ、ぼけ、ごらぁああああ!!」
センの叫びを背に受けながら、
バーチャはこの場にいるゼノリカのメンツへと手を伸ばした。
抵抗も、悲鳴も、
そのすべてを嘲笑うように、
次から次へと捕食していく。
センは必死に抗った。
歯を食いしばり、全力で喰い止めようとする。
ゼノリカの面々も、黙って喰われるつもりはなかった。
「「「「「「「轟烈閃化!!!」」」」」」」
怒号が重なり、
それぞれが、自分にできる最大限を引き出そうとする。
轟烈は、『センエース化』の極致。
『閃化』の最果て。
美しく、光り輝く、狂愛の結晶。
『死ぬほど愛している』という極端な想いは華。
堅牢な狂気の覚悟は土。
――それでも、
「絶望的に脆弱。貴様らの弱さは、私に酷い呆れを覚えさせたぞ」
バーチャの前では、
そのすべては塵芥に等しかった。
★
センキーが本気で抵抗したというのに、
ほんの数秒で、
ゼノリカのメンツは、一人残らず、
バーチャに食べられてしまった。
血の気が引く間もなかった。
剣戟も、魔力の奔流も、意志の咆哮も、触れた瞬間に押し潰され、かき消える。
抗う姿勢そのものが、通用しないという事実だけが、冷酷に突きつけられる。
強さの次元が違う。
一挙手一投足の練度がハンパじゃない。
踏み込みは無駄がなく、間合いの支配は完全で、攻防の切り替えに一瞬の迷いもない。
経験の積み重ねが生んだ技量が、暴力として純化されていた。
プライマル・センエースの戦闘力を有するバーチャ・ルカーノ・ロッキィという絶望は、センキーの想像をはるかに超えていた。
理解が追いつく前に、現実だけが先行する。
視界に映るのは、圧倒的な存在感と、それに呑み込まれていく仲間たちの終わりだった。
その様子を、すこしだけ離れたところから、『セイラを抱えたハルス』が見つめていた。




