90話 ニワカがぁ!
90話 ニワカがぁ!
バラバラに吹っ飛んだ蝉原の体を魔法で綺麗に消し飛ばしつつ、
バーチャは、
「まあ、しかし、プレゼントには感謝する。複数の原初魔カードに……破壊衝動ソル……私は、またさらに強くなってしまった」
ニィっと自身の膨張ぶりに陶酔する。
そこで、我慢の限界がきた様子のセンが、
バチギレの顔で、
「さっきからずっと、主役の俺を置き去りにして、勝手に色々やってんじゃねぇぞ、ごらぁ! 正直、最初から今この瞬間まで、ずっと、意味わかってねぇんだよ、俺ぇえ! つぅか、とりあえず、蝉原を返せよ! あいつは、俺達の王なんだよ! あいつこそ、この世界の主役! あいつがいなきゃ始まらないし、あいつがいなきゃダメな体になってんだよ、俺はもう!!」
その叫びの横で、トウシは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
センの様子を一瞥し、深く息を吐く。
「この期に及んで、まだ、そのボケをつづけるんか……これは、もはや、しつこいとかやなくて、ただただ病気やな……」
センエースの慟哭も、
トウシの嘆きも、
その場に満ちる人間の感情のすべてを、
――バーチャは、意にも介さなかった。
氷のように冷え切った視線が、センエースを貫く。
そこには嘲りも憤りもなく、ただ処理すべき対象を見る目しかなかった。
「センエース……貴様には地獄を味わってもらう。ただ殺すだけでは決して終わらない。全てを失ってもらう。絶望を苦悩を……とことん味わってから、死んでもらう」
その言葉を受けて、センは嗤った。
乾いた、壊れかけの笑いだった。
「ニワカがぁあ! もう、飽きてんだよ、絶望も苦悩もぉおお! 俺の神生、最初から今日にいたるまで、ずぅうううううっと、絶望と苦悩ばっかりで、もういい加減、うんざりしてんだよぉぉお! ご存じかどうか知らんから、一応言っておくけど、俺、2垓年も地獄を見てんだぞ! 分かるか?! ピンとくるか?! 2垓年だぞ! なんだ、2垓年って! ちなみに、俺は、ちっともピンときてねぇ! さっぱりわからない! 俺は雰囲気で俺の年齢を叫んでいる!!」
自嘲と怒りと投げやりが混ざり合った叫び。
己の運命そのものに唾を吐きかけるような言葉だった。
しかし、バーチャは微動だにしない。
淡々と、言葉を重ねる。
「全人類の希望……それが貴様の背負っているもの……多くの配下に愛され、望まれ、慕われ、恋焦がれられ、崇拝され、畏怖され、さぞ、気分のいい人生だったことだろう」
その瞬間、センの表情が歪んだ。
怒りが、はっきりと形を持つ。
「本気で思ってんなら、俺と替わってみろ、ぼけぇ!」




