82話 これはいったい、どういう状況だ?
82話 これはいったい、どういう状況だ?
闇落ち&TSしているゴートを見つめながら、
センは、天を仰ぎ、
「……トウシぃ! 蝉原ぁ! 助けてぇえ! どっちでもいいから、状況の説明をしてくれぇえ! 現状が一ミリも理解できん! マジで、さっぱり、何一つ、ぜんぜんわからない! 俺は今、雰囲気で戦っている!!」
叫び声が戦場に虚しく反響する。
センは足場の定まらない空間に立ったまま、視線を忙しなく走らせた。
敵意と殺気が入り混じり、空気そのものが軋んでいる。
蝉原の気配は、どこにもない。
呼びかけに応える声もなく、気配すら完全に断たれていた。
代わりに、背後の空間が不自然に波打つ。
次元の亀裂が、紙を裂くような音を立てて開き、その奥から人影が歩み出る。
「待っていたぞ、トウシくん! さあ、教えてくれたまえ! これはどういう状況だ?」
現れたトウシは、場に満ちる圧力を一瞬で読み取り、足を止めた。
視線を鋭くし、ゼンドウとTSゴートを交互に見据える。
TSゴートは、興味なさげにトウシを一瞥しただけで、すぐに意識を切り替えた。
視線が、静かに、しかし確実にゼンドウへと据えられる。
「あっちは後で殺す……まずは貴様だ。ゼンドウトクシン」
「……聞いていない流れだな……君が出てくるのは、もっと後のはずだけれど……」
ゼンドウは低く呟き、わずかに肩を落とした。
だが、退く気配はない。
互いに言葉を交わす二人を横目に、センは耐えきれずに前へ出る。
眉間に深くしわを寄せ、苛立ちを隠そうともせず、トウシを睨みつけた。
「で?! これ、なに?!」
説明を恐喝していく閃光。
トウシは一瞬だけ言葉に詰まり、頭をかく。
視線を外し、面倒そうに息を吐く。
「えっとなぁ……めちゃくちゃダルいんやけど……まあ、一応、説明しようか……」
渋々と口を開き、トウシが説明を始めようとした、その直後だった。
ゼンドウとTSゴートが、何の合図もなく殺し合いを開始した。
激突の衝撃が爆風となって広がり、連続する轟音が空間を揺らす。
どちらもえげつない強さで力を振るい、コスモゾーンが悲鳴を上げているのが、肌を通して伝わってきた。
そんな暴れ回っている二人に対して、センは、
「うっせぇえ! 何が原因か知らんが、ケンカならヨソでやってくれ!! こっちは今、歴史の授業中なんだよ!」
などと、メロウなユーモアを叫んでから、
トウシに視線を向けて、
「さ、トウシ先生、解説、おなしゃす」
「どうしても長くなるから、覚悟して聞けよ」
そう言って、首をゴキゴキと鳴らした。




