81話 ずっとだけど、はじめてですよ。
81話 ずっとだけど、はじめてですよ。
現状、センは、毘沙門天に組み込む形でヨグソードを運用していた。
シュブ盾と同じく、『プライマルコスモゾーンレリック』としての性能自体は疑いようがない。
だが、真・第一アルファを維持するため、常時エネルギーを吸われ続ける。
その上、出力が大きすぎるため制御が難しく、さらには、いつも平然と嘘をつく。
総合的に見て、マイナス要素が多すぎた。
ちなみに、表に出していないだけで、
ヨグは『記憶を失っていない状態の完全版センエース』に対して、
頻繁に声をかけ、執拗な嫌がらせを続けている。
戦闘中であろうと、お構いなしだった。
ちなみに、こんな感じである。
(セン、避けろ! 右の死角からビームがくる!!)
突発的な警告が、思考に直接割り込んでくる。
センは反射的に身構えるが、次の瞬間、別方向からの殺気を感じ取った。
「左から実弾が飛んできたじゃねぇか……このクソsiri、マジで嘘ばっかりつくから、逆にナビとして機能していると言えなくもねぇな……」
舌打ち混じりに悪態をつきつつ、弾道をかわす。
結果的に回避できているのが、なおさら腹立たしかった。
(モチつけ。まだ焦るような時間じゃない。落ち着いてゆっくり深呼吸をするんだ)
戦況を無視した助言が、妙に落ち着いた調子で続く。
「そんなに慌ててねぇし、この鉄火場でゆっくり深呼吸なんかしていたら肺をやられる」
即座に切り返しながら、攻撃の隙間を縫う。
(いいか、セン。私はシュブに詳しい。適切な情報で、貴様を華麗な勝利に導いてやる。これまでそうだったように!)
自信満々の声音が、やけに響く。
「これまで、お前は邪魔しかしてねぇけどな。いくら無視しても、ずっと喋りかけてくるという嫌がらせを延々と繰り返しただけ。あと、俺からエネルギーを奪い続けただけ。……つぅか、マジで、シュブ盾の対処教えてくれや。あの盾、おそらくだけどオメガバスティオンが自動発動してんぞ。どうすればいい」
(知らん!)
「…………はじめてですよ。この俺をここまでコケにしたおバカさんは」
吐き捨てるように呟いた、その直後だった。
空間の上方が、嫌な気配でざわつく。
次の瞬間、空から凶悪なエネルギー波が、叩き落とされるように降り注いだ。
「あ?! なんだ?!」
反射的に身構え、センは視線を跳ね上げる。
驚いているのは、センだけではなかった。
ゼンドウもまた、事態を把握できていない様子で、
眉をひそめ、反射的にバっと空を睨み上げる。
異物感のある気配。
戦場の均衡を無遠慮に踏み荒らす存在。
そこにいたのは――
「……ヒーロー見参」
『一目で闇落ちしている』と理解できる壊れた目をした『女性』。
――ゴート・ラムド・セノワールだった。




