72話 暴露のアリア・ギアス追加。
72話 暴露のアリア・ギアス追加。
ゼンドウは、骨と骨が擦れるような音を立てながら、全身の可動を確かめる。
その仕草は戦闘前の確認にも、単なる癖にも見えた。
ゼンドウは、スっと、視線をセンに固定させ、
「暴露のアリア・ギアス追加。……もともと、ゼンと合体したのは僕で、蝉原はどこかで高みの見物を決め込んでいる。僕の中にも蝉原因子をぶちこまれているけれど、僕は僕だ」
「……あ、そう。ちなみに、お前って、今まで何してたんだ? 『さいごのまおうのせかい』で、ゼンドートってやつがいたけど、あれってお前?」
「暴露のアリア・ギアス追加。……ゼンドートは、記憶を失った僕の一部。『経験値回収用の僕』と言ってもいい。蝉原は、僕をバラバラにして、様々な運用の仕方をしてきた。ちなみに、僕の本体は、ずっと、蝉原と戦闘訓練をしていたよ。『実がなければセンエースには勝てない』と言われて、延々と、地道な戦闘訓練を繰り返した。蝉原は、ずっと、偉そうに神闘技術の講釈を垂れてきて……死ぬほどウザかったよ。何度殺してやろうと思ったか」
言葉は滑らかだったが、そこに込められた感情は濁っている。
長い時間、閉じ込められ、削られ続けた痕跡が、行間から滲んでいた。
「……へぇ……そうなんだ」
相槌は薄い。
深く理解する気も、肯定する気も、否定する気もない。
「暴露のアリア・ギアス追加。僕は蝉原から……というか、蝉原の中にいる『破壊衝動ソル』から、『ゼン』の中に眠るプライマル・センエースを解放する方法を聞いている」
その名が出た瞬間、空気がわずかに張りつめた。
センは頭をぼりぼりかきながら、ボソっと、
「もはや、質問していないのに、暴露のアリア・ギアスを積むのね。いや、まあ、正直、ありがたいけどね」
皮肉を混ぜて返す。
それでも耳は、言葉一つも逃すまいと研ぎ澄まされている。
「暴露のアリア・ギアス追加。もともと、僕は、そのために創られたそうだよ。センエースから善心と道徳心とリミッターを外したZ型センエース4号。たまたま上手くいった良個体の一つに過ぎない……けれど、もともと、『そのたまたま上手くいった個体がカギになる予定』だったそうだ。歪んだ完全な自我は、プライマルの鍵たりうる」
自己分析とも告白ともつかない語り。
自分が何者で、どう扱われてきたのかを、冷静に理解している。
その冷静さこそが、なにより異常。
「難しい話になってきたな……ぶっちゃけ、ちょっと何言ってるかわかんない」




