69話 立て、立つんだ、ゼン!
69話 立て、立つんだ、ゼン!
「てめぇが俺に勝てる確率は、誇張なしで完全にゼロだ」
「……ち、ちなみに、なんでだ? 俺の数値は……もう、あんたを超えているんだけど。今の俺、意味わからんぐらいエグいんだけど」
息を荒くしながらの問い。
理屈だけでも、縋りたかった。
「俺は、俺より強い程度の雑魚に負けないから」
「……なんの答えにもなってねぇ……」
「実際のところ、驚いているんだぜ」
センは肩をすくめる。
そこに、緊張も警戒もない。
「……お前は強ぇよ、ゼン。見事なもんだ」
ほんの一瞬、評価だけを置いてから、続ける。
「ただ、めんどくせぇことに、どうやら2垓年を積んだ俺の戦闘力は……お前の数値をゴミにできるらしい」
淡々とした声。
それが事実であることを、疑っていない声音。
「正直、2垓を積んだ自覚がねぇから、達成感も優越感もないんだがな。というか、そもそも俺は、お前に負けるために2垓を積んでるから、この状況は、普通に芳しくねぇ」
「なに言ってるか分かんねぇ……」
吐き捨てるように言いながら、
ゼンは必死に剣を握り直す。
「つぅかさ……もう、普通に頼むから負けてくれねぇか? マジで、なんでもするから!!」
追い詰められた声。
プライドも、意地も、かなぐり捨てた懇願。
「ん? 今、なんでもって言った?」
「なんでもって言ったんだよ! 頼むよ、神様!」
声が震える。
「事情は言えねぇけど、負けるとやべぇんだ!!」
「俺だって負けてやりてぇよ」
センは、心底つまらなそうに言った。
「別に、冒険者試験に落ちて、また一年待つくらい、屁でもねぇんだから」
「だったらぁ!」
「……てめぇで勝ち取れ」
センの目が、わずかに細まって、
「俺を倒せよ。できないのは、てめぇの責任だ。俺は悪くねぇ」
「くそったれがぁ……」
さらに激しくなる攻防。
ゼンは残された全てを叩き込み、
ただただ、センエースを殺そうとした。
怒りも、恐怖も、使命感も、
すべてを力に変えて振り回す。
だが、
センはその全てを、完璧に回避し続ける。
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……」
次第に、ゼンの呼吸が乱れ始める。
ムーンライト・アスドラージャンは、
凄まじい出力を誇る代償として、
エネルギーの消耗が異常に激しかった。
これまで膨大な数値で強引に押し切ってきたが、
その誤魔化しにも、ついに限界が訪れる。
「う……ぁっ」
踏み込みの途中で、力が抜けた。
剣がわずかにぶれる。
完全なガス欠。
「く……くそぉ……」
悔しさだけを残して、
ゼンの身体は、重力に引き戻されていった。
ついにはエグゾギアも消えてしまい、
むき出しでボロボロのゼンだけがそこに残る。
これまで私は、感想欄でさまざまな質問をいただくたびに、
「それはセレナーデ案件ですね」
「それについては、セレナーデで明らかになるでしょう」
「私はいいけど、SERENADEがなんて言うかな」
などと、『プライマルメモリ・セレナーデ』という概念を、まるで政治家の必殺技『記憶にございません』ばりに乱舞して、ケムに巻きまくってきましたが……
しかし来週、ついに――そのセレナーデを投稿します。
セレナーデは特別なので、完結まで毎日10話投稿します(*´▽`*)
来週は『毎日セレナーデ10話+本編2話』+「隔日でクロッカ1話」となります!
舞い散る閃光「え……セレナーデって、ツチノコとか徳川埋蔵金とかと同じ系統の都市伝説じゃなかったの?!」




