66話 ところがわっしょい、ぴーぽーぴーぽー。
66話 ところがわっしょい、ぴーぽーぴーぽー。
命が瞬く。
神種が芽吹く。
「……神……化……」
ゼンの身体が、神気に包まれる。
魂が燃え上がるように輝き、
存在値が一気に膨れ上がっていく。
それだけではない。
それをきっかけに、
それまでずっと『不可視化状態で観察していた蝉原』が、
パチンと指を鳴らした。
その瞬間、
強制的に抑え込まれていたゼンの『数値』が復活していく。
歪な封印が解かれ、積み上げられていたもの……正式に言えば『センエースがゼンに積み上げたもの』が、いっせいに流れ込む。
神となり、封じられていた数値も戻った。
その結果、
膨大な存在値となったゼンは、剣を振り抜く。
「死ねぇえええええええ!! 王牙・極致・神羅一閃!!!」
炸裂するほどの万能感と使命感。
全オーラと魔力を込めた一閃が、一直線に走った。
その剣を前にして、
センは小さくアクビをする。
「大事な恋人を守るため、絶望に耐え、苦難を乗り越え、苦痛と向き合って、覚悟を膨らませて覚醒して特攻……そこらのハピエン厨作品のラスボス相手だったら、それで勝つんだろうが……」
パァンと、あっさり。
ゼンの一閃は、片手でかき消された。
「ところがわっしょい、俺が積んできた重荷と比べれば、てめぇの荷物なんざ、置き勉しまくっている小学生のランドセルより軽いんだよ」
言い終える前に、
センの脚が唸った。
ゼンの腹部へ、ヤクザキックが叩き込まれる。
衝撃が内側から爆ぜ、
グジャリと、でっかい穴があいた。
――ゼンの意識は、完全にとんでしまった。
★
最強の低血圧の時の寝起きみたいに、
ゼンの頭は、完全にボォっとしていた。
ズキズキと、頭の奥の一番深いところが悲痛を叫んでいる。
周囲を見渡すと、そこは、妙な空間だった。
何もなくて、自分と、『もう一人だけ』が立っている。
そのもう一人は、ニヤニヤ笑いながら、ゼンに、
「やあ、センくん。この世界にきてからの君はゼンだけれど……まあ、今だけは、懐かしい名前で呼ばせてくれよ」
「……せみ……はら……」
「大変そうだね。苦しそうだね」
「……これは……夢……か?」
「教えてあげてもいいけど……今の君が望んでいるものは、現状における『詳細な世界観設定』の『解説』かい? それとも……177番を倒せる力かい?」
「……言うまでもなく……力だ」
「そうだろうとも。そうでしょうとも……じゃあ、俺と同化してみないかい?」
「……どう……か?」
「ピ〇コロとネ〇ルのやつだよ。そして、もちろん、ベースは君だ。つまり俺は、君に好意で素晴らしいプレゼントをしてあげようと言っているんだ」




