54話 こうなったらいいなぁ。
54話 こうなったらいいなぁ。
「……ちなみに、シュブって、『無限に湧き出るナチュキ』を召喚できるやつだろ? 殺せなくない?」
「おどれが究極超神化9に覚醒せんかったら、この皮算用をする気にもならなかった。けど、偉大なる命の王、舞い散る閃光センエースは究極超神化9に届いた。だったら挑む価値はある。究極超神化9に届いたセンエースに、ワシの演算力が合わされば……『無限を生成する地獄』を処理できる可能性が……少なくともゼロではない……ような気がせんでもない。知らんけど」
論理は一応の形を成している。
だが、その土台を支えているのは、不確定要素ばかり。
確定的な要素は皆無。
文字通りの皮算用。
『こうなったらいいなぁ』という希望的観測のオンパレード。
センは口をヘの字に曲げ、短く息を吐いた。
計算の粗さは、聞かされている本人が一番よく分かっている。
「……ぶっちゃけ、行ける気は全くしないけどなぁ。お前の頭脳に関しては確かに可能性がなくもない感じだけど、俺の実力が微妙な気がするなぁ……アニキはどう思う?」
軽口を装ってはいるが、実際には判断を委ねる問いだった。
自分一人で背負うには、あまりに重い賭けである。
そこで蝉原に尋ねるセン。
蝉原は柔らかく微笑んだまま、即答を避けるように一拍置いた。
「本気の君に勝てる者は存在しない。それが一つの答えでもある……とは思うかな。『ゼンごときが君に勝つ』のは無理だけど、――『君がシュブに勝つ』というのは十分にありえる未来だ」
「……お前、ちょっと前に『9に届いた俺でもシュブに勝つのは厳しい』みたいなこと言ってなかった?」
「厳しいとは思っているし、俺ごとき凡人にはどうすればいいのかさっぱりわからないけれど、『できない』とは言っていないよ。田中トウシが頭脳になってくれるなら、何かしらの超絶技巧で、シュブやナチュキの無限増殖とかに対処できるかもしれない。そして、ある程度の対処ができたならば、君の根性パワーで処理しきれるかもしれない。できるかどうかは知らないし、厳しいと思うけれど……100%不可能だとは思わないよ。ほぼ100%不可能だという点に目をつぶればの話だけれどね」
理屈は慎重で、希望は最小限。
それでも、完全な否定だけは口にしなかった。
蝉原の『迂遠な皮算用』を受けて、
センは一瞬だけ視線を落とした。
「へっ」
短く漏れた声は、諦観とも開き直りとも判別しがたい。
「アニキが言うなら間違いないな。全ての問題事が解決した暁には、世界を統べる王にもなってくれるらしいし。やっぱ、アニキは格が違った」




