52話 本気のセンエースに勝てる者など、この世に存在してはいけない。
52話 本気のセンエースに勝てる者など、この世に存在してはいけない。
「センくんは何も悪くない。誰も君を責めたりしない。俺は君が悪いだなんて一ミリたりとも思っていないよ。君はただシンデレラだっただけさ」
蝉原の言葉は慰めの形を取りながら、
徹底的に悪意を磨き上げた狂気の刃。
センはヒクつきながら、
「言葉の意味はよく分からんが、とにかくすごい悪意だ。嫌味を口にさせたら、やはり、お前の右に出る者はいねぇな。蝉原、お前がナンバーワンだ」
そこで、トウシが、場を締め直すように、また咳払いを一つかまして、
「……ハッキリ言うけど、もはや、こうなったら、ゼンではぜったいにおどれには勝てん。というか、まあ、最初から、ゼンに勝ち目はなかったような気がする。本気のセンエースに勝てるやつなんか……この世にはおらん」
「詰んでない?」
軽く投げられた問いかけは、場の重さに反して妙に乾いていた。
「そうや。詰んどる。完全に終わり。お疲れ様でした」
間も、逡巡もない、トウシの断言即答。
そこには揺るぎない結論だけが沈殿している。
センが、そこで、ぽりぽりと頬をかきながら、
「……いやぁ、うん、まあ、正直さぁ……俺も、ゼンに負ける気は一切しないんだよなぁ……不遜でもうぬぼれでもなく、普通に……」
肩をすくめるような口調とは裏腹に、揺るぎのない絶対の自信が滲んでいた。
トウシが天井をみつめながら、
「これまでと同じ方法を使えば、またループを再開することはできる。コンプ報酬で、ちょっとずつゼンを強くすることも可能ではある。けど、ここまでの流れを鑑みるに、おそらく、何回繰り返しても、ゼンがセンエースを超えることはない。繰り返すことで、ゼンが究極超神化9に変身できるようになる可能性はあるけど、その時、おそらく、おどれは究極超神化10になっとる」
淡々とした分析。
感情を挟まず、可能性と結果だけを積み上げる。
希望と呼べる要素を、一つ一つ検討し、そのすべてに終止符を打つ敗者の論理。
そこで蝉原がニコニコしながら、
「まさに、アキレスと亀だね」
場違いなほど穏やかな笑みが、その言葉を軽く見せている。
だが、その比喩が指し示す構造は、あまりにも残酷。
その言葉に、センが、呆れ顔で、
「え、んー……まあ、うーん……アキレスと亀は、また、ちょっとニュアンスが違うんじゃねぇかという気もしないではないが……」
そこで、トウシが、
「言い得て妙ではあるな。本来の成長速度指数的に言えば、センエースを追い越せるはずのゼンが、絶対にセンエースを超えられない」




