51話 君は何も悪くないよ。
51話 君は何も悪くないよ。
「この点は『おどれがエグすぎる』という点以外にも、蝉原の『嫌がらせ的な功罪』も介在しとる」
トウシの言葉は容赦なく、結論だけを突きつける。
センは視線を横に流し、蝉原の方を見た。
蝉原は、愉悦で満たされたような、
悪意で一杯の笑みを浮かべている。
トウシはそんな二人の様子を一瞥してから、
「この2垓年の中で、蝉原も成長した。『原初魔カード』は、その証みたいなもの」
そこで、蝉原が二コリと太陽みたいに微笑んで、
「原初魔カードは、禁止魔カードの違法改造版。無数のアリア・ギアスを組んで、より凶悪にカスタムした悪意の塊。まあ、より正確に言えば『禁止魔カードに込められていた制限』をムリヤリ破壊して、俺好みに調整したって感じなんだけど」
トウシは続けて、
「……蝉原は、『原初魔カード』を駆使して、深層一層の深部にまで食い込み、おどれを激烈に強化するため尽力した。その結果、舞い散る閃光センエースはついに究極超神化9に届いた」
そのタイミングで、
蝉原が独り言のように、声を落とす。
「正直、届くとは思っていなかったよ。『8の限界点にまで行ってくれればいいなぁ』ぐらいにしか思っていなかったんだ」
そこで、トウシも頷いて、センを睨みながら、
「そう。誰も思っとらんかった。この段階で9に届くやなんて。フローチャート的には8を完成させるんが精一杯やったはず……しかし、狂気的な積み重ねと、常軌を逸した覚悟の連鎖で、おどれは、運命の限界を超越した」
その声には、呆れと畏怖が混じっていた。
トウシの感情にかぶせるようにして、
蝉原も、
「そんなんだから、運命に嫌われるんだよ、センくん。君はもっと自重しなきゃ。運命をゲーム会社に例えると、君は世界最狂に悪質なチーター。君がやったことは、ドラ〇エ5で幼少期にゲマをバギムーチョやメドローアで殺したようなもの」
「今、俺は……責められているのかな?」
「いやいや、『この世界で最も尊い王』を責めるだなんて、そんなおこがましい真似、一凡人の俺にはとてもできないよ。ただ、一つ言えることは、君が自重しなかったせいで、ゼンがセン君に勝てる可能性がなくなり、結果、田中・イス・シグレの絶望的な死が確定したということ」
「……」
「もちろん、そんなことは全然気にする必要ないよ。だって君は強くなっただけなんだから。他の人の迷惑などお構いなしで、ただただ自分の欲求を満たすためだけに、傲慢に、無秩序に強くなった……というそれだけの話なんだから。だから、土下座する必要なんてないよ。床やクツをナメる必要なんかないさ。だって、君はなんにも悪くないんだから」




