44話 いつからテメェに人権があると錯覚していた?
夕方投稿できないかもしれないので、朝に2話投稿します。
本日の1話目です。
44話 いつからテメェに人権があると錯覚していた?
「はは、流石に騙せないか。かなりうまく死んだふりをしてみせたんだけどなぁ……」
蝉原は軽く嗤い、余裕のある仕草で肩をすくめた。
「とりあえず、返してくれないか。俺の『テラス』。それは大事なものなんだ」
先ほどの襲撃の際に奪われたもの……
それは、蝉原がずっと大事に保管していた『テラスのカケラ』だった。
「絶対に返さんわ、ボケ。これはザンクに渡す」
トウシの声に感情は乗っていなかった。
決定事項を告げるだけの、冷えた響き。
「人の大事なものを強奪して、他人に横流しだなんて……ヒーローにあるまじき行為だよ、田中・イス・トウシ」
「ワシはヒーローやない。そんな厄介な業を背負う気は微塵もない」
「そうかい。ふふ」
と、シニカルに微笑む蝉原の視線の隅で、
センが心底イラつきながら、
「なにわろてんねん……てか、なに、この状況。理解できてないの、俺だけ? お前らばっかり裏事情に精通しているのズルいぞ。俺を仲間外れにするな! 俺達、仲良しズッコケ三神組だろ! これ以上、俺だけをのけものにする気なら、こっちにも考えがあるからな! より凶悪な殺気を放つ究極超神化9に変身して、死よりも恐ろしい究極のパワーを見せてやる!」
ゴチャゴチャ喚いているセンをシカトして、
蝉原はトウシの目をニタついた目のまま睨みつける。
トウシの意志が固い事を理解すると、
蝉原は、やれやれ顔で、
「……仕方ないね。テラスは諦めるよ。今の俺じゃあ、奪い返すことはできないし」
「……」
深く、ねぶるような瞳で、蝉原を観察するトウシ。
トウシでも、今の蝉原を完全に見通すことはできなかった。
強い目で睨んでくるトウシに、
蝉原は、柔らかな微笑みを見せて、
「攻撃する気も反抗する気もないよ。究極超神化9に変身できる君たち二人に、俺単騎ではどうしようもないからね」
引いた姿勢を見せる蝉原に、
センが、切れたナイフのような表情で、
「おい、トウシの半端な究極超神化9と俺様のウェビーでナイトメアな究極超神化9を一緒にするんじゃねぇ。トウシのはただの劣化コピー。奴は、時代の敗北者じゃけぇ」
「わかっているよ、センくん。いつだって『真に尊い』のは君だけ。田中トウシは君のオプションにすぎない」
「わかってねぇな、蝉原。田中トウシは、この世で最も尊い怪物だ。俺こそ、トウシのオプションにすぎない。俺は詳しいんだ」
「売り言葉に買い言葉の時だけワシのファンぶるんやめてくれん? それ、キモいねん、マジで」
「黙ってろ、ゴミ以下のクソガキぃ! てめぇに人権はねぇんだから、俺の許可なくしゃべってんじゃねぇ! この世界に、おめぇの席ねぇからぁああ!」
「やっぱり、センくんの言動は、全てが完璧で尊くてかっこいいなぁ」
「「どこがやねん」」




