27話 『殺せたら合格』でいいっすか?
27話 『殺せたら合格』でいいっすか?
シグナルズ。
フーマーお抱えの戦闘用部隊の一つ。
序列一位がピースメイカーで、次席がシグナルズ。
スーバンは、もともと盗賊団『水虎』の頭目だった。
だが、その優れた実力が認められ、シグナルズにスカウトされた。
センは、痛む体を必死に支える……という風を装いつつ、店主へ視線を向ける。
「俺が愚かだって点に関しては異論の余地もないな……ところで、龍紋は? さっさと渡してほしいんだけど」
軽口の裏に、焦りはない。
要求だけが、真っ直ぐに投げられる。
「スーバン殿が不合格だと言っただろう。俺はただのサポーターだ。試験官が不合格だと言っているのに、合格の証を渡すわけがないだろう」
店主の声は事務的だった。
個人的な感情を挟む余地すらない。
それが、この場の結論。
「マジっすか。ちなみに、どうすれば合格になるんすかね?」
軽い調子で言いながら、センは視線をわずかに横へ流した。
それは、無意識ではない。
スーバンの立ち姿、重心、魔力の揺らぎ。
一瞬で拾える情報を拾いきるための、計算されたチラ見。
「貴様の不合格は揺るがない」
議論の余地を最初から排した声音。
それを受けてセンは、
「マァジっすぁぁ……」
肩を落とし、しんどそうに息を吐いてから、
「ちなみに、不合格の理由は……『自分より強い相手にイキったから』……でいいっすか?」
探るような問い。
声色は軽いまま。
感情を前に出さず、結論だけを確認する。
「その通りだ。優れた状況判断力も冒険者の資質の一つ。貴様にはそれが欠落している」
評価は簡潔。
人格ではなく、資質への断罪。
試験官としての断言。
そこで、センは、ニっと微笑み、
「じゃあ……あんたが俺より弱かったら……不合格は取り消しですね」
一拍。
空気が、わずかに張りつめる。
「……ぁあ?」
スーバンの眉が動いた。
初めて感情がゆらぐ。
困惑ではなく、苛立ちが沸々と。
その瞬間、センはアイテムボックスへ手を伸ばした。
取り出したのは……一本の棒。
「あんたを殺せば、俺は合格……それでいいっすよね? 倫理的にはどうか知らんすけど、理屈的にはそれでいいっすよねぇ?」
一度、キノキの棒を手元でくるくると回してから、挑発するように、その先端をスーバンに向ける。
口元がより強固に歪んだ。
ニタリと、ギラリと。
冗談めかした笑みではない。
獲物を前にした、悪魔の微笑み。
「……バカが。俺はシグナルズのメンバーだと言っているだろうが」
吐き捨てるような声。
自らの立場を誇示する発言。
輝かしいばかりのプライドで胸を張る。




