26話 センエースの今期における冒険者試験の結果は、不合格!!!
26話 センエースの今期における冒険者試験の結果は、不合格!!!
鈍い衝撃音が店内に響く。
チンピラの拳は、的確にセンの顔面を捉えていた。
センの身体は宙を舞い、背中から壁に叩きつけられる。
周囲の客たちは悲鳴を上げるでもなく、視線を向けるだけだった。
中には、面白そうに酒をあおる者もいる。
ケンカは、ここでは珍しくない娯楽。
センは、ふらつきつつ、ゆっくりと立ち上がって、
「ぶったね……二度もぶった! おやじにもぶたれたことないのに!」
実際には一発しか殴られていないが、テンプレなので気にしない。
チンピラは鼻で笑い、ふらついているセンをみくだしながら、
「見る目のないガキが……俺をただのチンピラとでも思ったか?」
そう言いながら、全身に力を込める。
魔力とオーラが、はっきりとした圧となって周囲に広がった。
空気が重くなる。
「不合格だ、クソガキ。暗号を解読するだけじゃ4次試験合格は認められない。最低限の危機察知能力も、相手の力を見抜く目もない……ゴミは貴様の方だ」
言葉と同時に、チンピラはアイテムボックスへ手を伸ばした。
取り出されたのは、赤いカバーに金字が刻まれた一冊の本。
「これが何かわかるか?」
誇示するように掲げられる。
「……冒険の書」
センは即答した。
視線は揺れず、迷いもない。
――冒険の書。
それは、冒険者試験に合格した者だけが手にする、特別な証。
ハンターにとってのライセンスに等しい存在。
つまり――
この男は、ただのチンピラではない。
この世界で最も偉大な職につく者。
――冒険者だった。
「4次試験まで進んだ以上、貴様にそれなりの力があるのは事実だ。それは認めよう。貴様には才能がある。だがな――力があることと、生き残れることは別だ。世の中、上には上がいる。貴様より強い奴なんて、いくらでもいるんだよ。無謀を勇気と勘違いした瞬間、人は死ぬ。根拠のない威勢は、せっかくの才能を殺す害悪」
淡々とした口調。
感情を交えず、評価を下す声。
そこには怒りも嘲りもなく、ただ事実を告げる冷たさだけがあった。
その言葉が落ちたところで、店の奥から足音が響く。
龍紋を取りに行っていた店主が、ゆっくりと戻ってきて、
「……『シグナルズ』のスーバン殿を相手に、真正面からイキり散らかすなど……愚かとしか言いようがないな」
呆れを隠そうともしない口調。
「シグナルズ……確か、フーマーの部隊だっけ?」
センは首を傾ける。
痛みをこらえている様子は見せるが、声の調子は変わらない。




