24話 サポーター。
24話 サポーター。
疑念と困惑が入り混じった視線。
常識から外れた進行速度に、理解が追いついていない様子だった。
センはその反応を受け流すように、肩の力を抜く。
「3次試験のターゲットを秒で発見して瞬殺して、4次試験の暗号も秒でといた。俺からしたらハナクソをほじるより簡単だが……もしかして俺また何かやっちゃいました?」
冗談めいた口調。
軽薄さを前面に出しながら、事実だけを並べ立てる。
その裏にある手段や経緯には、一切触れない。
店主の顔から血の気が引き、言葉が途切れる。
しばらくの沈黙の後、絞り出すように呟いた。
「……マジかよ。信じられねぇ……」
彼――ソウカの店主は、かつて冒険者試験で三次試験まで進んだことがある。
それなりの実力があり、努力も怠らなかった。
才能があり、努力と月日を重ねても、なお届かなかった夢の舞台。
それが、冒険者試験三次試験だった。
その壁を、秒で終えたと平然と言い放つ受験生がいる。
しかも、四次試験にまで、すでに手をかけているかのような口ぶり。
そんな存在が、いま目の前にいる。
理解が追いつかない。
それでも、投げかけられた言葉だけが、胸の奥を容赦なくえぐってくる。
店主の内側には、整理しきれない複雑な思いが、次々と湧き上がっていた。
「才能ってやつは……無慈悲だよなぁ……」
そんなことは、分かっているつもりだった。
憧れも、悔しさも、すべて抱えたまま、それでも最後には折り合いをつけた。
そうして彼は、冒険者になることを諦めたのだ。
それでも、目の前で否応なく『差』を突きつけられると、心は勝手にざわつく。
理屈では整理したはずの感情が、再び顔を出してしまう。
そのざわめきに沈みかけていた店主に、センが声をかけた。
「その意見には禿げあがるほど同意するが……こっちもヒマじゃないんでね。さっさと、龍紋とやらを渡してくれねぇか?」
「あ、ああ、そうだな……まってろ……すぐにとってくる」
店主は、そう言って小さくうなずいた。
気を取り直そうとしているのは分かるが、声にも背中にも力は残っていない。
肩を落としたまま、重い足取りで店の奥へ向かっていった。
その背中が棚の向こうに消える。
店内には、酒の匂いと、取り残されたような間だけが残った。
その時――
すぐ近くの席で酒を飲んでいた男が、椅子を引く音を立てて立ち上がった。
「おい、そこのしょうもないツラをしたにーちゃんよぉ……」
男は、絡みつくような声を投げながら近づいてくる。
距離は自然に詰められ、気づけば、逃げ場のないポジショニングができあがる。
「酒代が足りねぇんだ。貸してくれ」




