20話 俺、また何かやっちゃいました?
20話 俺、また何かやっちゃいました?
そこで、ミハルドは腰に下げていた杖のようなアイテムを取り出す。
そして、死体の一つへと向け、淡い光を走らせた。
続けて、残りの二体も同様に確認する。
杖は、すぐに三人の身元と存在情報を照合した。
いずれも三次試験の討伐対象であることが確認される。
「……ま、間違いない……カガヤキトトヨミ、クツルギカズミ、リュウガミネアンナ……ま、まさか……な、なぜ、こんなはやく……」
心底驚いた様子のミハルドに対し、
「どうしました? もしかして、俺、また何かやっちゃいました?」
と、センはお約束のテンプレ台詞ではしゃいでいく。
「…………っ」
ミハルドの喉が、ごくりと鳴った。
驚きを飲み込むように一度息を整え、改めてセンを見つめる。
しばらく言葉を探すように沈黙してから、ようやく口を開いた。
「ま、まさか、こんな速度でクリアできるとは……」
その顔には、隠しきれない驚愕と困惑が浮かんでいた。
試験官としての冷静さを保とうとしているが、予想を大きく外された動揺は明白だった。
「いやぁ、俺は大したことないんだけどねぇ。チームメンバーが非常に優秀だったからねぇ。やっぱり、『友情パワー的なアレコレ』とか『仲間との熱い絆うんたら』とかって大事だよねぇ。一人じゃできないことも、仲間さえいればどうにかなる! いやぁ、いい概念だ。感動的だな、だが無意味だ……ってこともないか、今回に限って言えば」
センは軽口を叩きながら肩をすくめた。
ふざけた調子ではあるが、空気を和らげる意図と、自分への過剰な評価をかわす計算が滲んでいる。
「……」
ミハルドは返事をしなかった。
黙ったまま、センの目を真っ直ぐに見つめる。
冗談の裏に隠された本音や、言葉にされていない事実を測ろうとする視線だった。
「俺たちの友情パワーに関して質問があるならうかがいますけど、なんかあります?」
「……ほかのメンバーはどうしている?」
ようやく発せられた問いは、感情を排した、きわめて事務的なものだった。
センは一瞬だけ視線を遠くへ向け、簡潔に答える。
「今は別の場所を捜索中ですよ。手分けしてターゲットを探して、その結果、俺が発見して討伐した。俺の功績が大きいのは事実ですが、だからといって合格の権利を独り占めするつもりはありませんよ」
「……」
「俺が発見できたのはただの偶然だし、この3人ぐらいだったら、170番たちでも余裕で狩れるので」
「……了解した……いいだろう」




