18話 3次試験。
18話 3次試験。
「色々とぶっ飛びすぎて、軸が見えなくなっているぜ……」
言葉にしながら、センは自分の置かれている状況を頭の中で整理する。
あまりにも規格外の出来事が続きすぎて混乱しているが、一応、やるべきことぐらいは理解できている。
「……あ、つぅか、あの3人がいない状態だと……3次試験どうなるんだ?」
眉をひそめ、センは現実的な疑問を口にする。
三次試験の内容は明確。
輝木、久剣、龍牙峰の討伐。
だが、現状その三人は、殺せる状態にない。
というより、殺すという選択肢そのものが成立しない。
立ち止まるセンを横目に、蝉原は実にあっさりとした調子で言った。
「死体ぐらい創ればいいじゃないか」
あまりにも軽い言葉の後、蝉原は指を軽く弾いた。
次の瞬間、センの目の前に三つの人影が現れる。
それは紛れもなく、輝木、久剣、龍牙峰の姿をした死体だった。
呼吸はなく、体温もなく、首から流れる一筋の血色も生々しい。
作り物とは決して思えない超絶的な精巧ぶり。
どこから見ても疑いようのない『死』がそこに横たわっている。
「……え、これでいいの? 『ちゃんとクリアした』って扱いになる?」
センは目を丸くし、思わず蝉原を見る。
「なるよ」
蝉原は即答した。
一切の迷いも説明もない。
「お前、3次試験の何知ってんねん」
呆れと警戒が混じった声で、センは吐き捨てる。
「3次試験なんかどうでもいいんだよ。大事なのは次の次だから」
蝉原の声音は、どこまでも淡々としていた。
「……え、どういうこと?」
「もう、ぶっちゃけちゃうけど、俺、ここから先で起こること、だいたい知っているんだよね」
さらりと告げられた言葉に、センは一瞬、言葉を失う。
「マジかよ……博識だとは思っていたが、そこまでとは……ちなみに未来のことを教えていただくことはできますかね、アニキ」
揉み手しながら猫背でお伺いをたてる閃光。
半ば冗談めかした口調で言いながらも、
センの視線は鋭く、蝉原の反応を逃さず捉えようとしていた。
「それは構わないけれど……とりあえず、3次試験をクリアしてくれ、センくん。こんなところで、ずっと喋るのもあれだろう? 未来の話は、あとでじっくりしようじゃないか」
「……ん、ぉお、ま、そうね……じゃあ、サっと終わらせようか」
歯切れの悪い返事をしながら、センは視線を足元へ落とした。
そこには三つの死体が横たわっている。
輝木、久剣、龍牙峰。
本来ならば生きているはずの三人の姿を、完璧に再現したフェイク死体。




