14話 おそろしく高度な嫌味……俺でなきゃ見逃しちゃうね。
本日の4話目(>_<)
14話 おそろしく高度な嫌味……俺でなきゃ見逃しちゃうね。
――センは、かゆくもない頭をかきながら、言葉を切り出した。
「……で、蝉原さんよぉ……俺についてくる『マジの理由』は?」
「ついさっき君に狩ってもらった『ラスト』を筆頭に、色々と『想定外』な出来事が起きている。過去の原初の世界は、問題だらけだ」
蝉原は淡々と語る。
分析結果を読み上げているかのような口調だった。
「それには同意する」
センは短く答えた。
反論の余地はない。
「下手を打てばすぐに、ナチュキとかシュブとかが湧いて世界が終わる。究極超神化9になった君でも、『無限に湧いて、無限に強くなる敵』に対応するのは難しいだろう」
「まあねぇ」
センは肩をすくめる。
原初の世界で無限湧きする超生命体は、エネルギー源が『世界そのもの』である。
仮に殺し続けられたとしても、世界が枯れるから意味はない。
センが負ければ、即座に世界は食い尽くされる。
勝ち続けたとしても、今度は世界そのものが枯渇する。
勝敗に関係なく、結末は破滅しかない。
その理解を前提に、蝉原はニコリと微笑みを深めた。
「だから、俺は君に強くなってもらおうと、虎の子の『原初魔カード』を使って、さいごのまおうの世界で、君に経験値を稼いでもらった」
「全ては俺のためだった、と」
「そうなんだよ。どうだい、いじらしいだろう? キスしてくれてもいいよ」
「マジでしてやろうか、ズキュゥンと」
「未経験だから、優しくしてほしいね」
「……童貞の前で、非童貞が童貞ぶるとは……なんて高度な嫌がらせなんだ……お前の悪意は底なしだな」
吐き捨てるような言葉。
呆れと警戒が、複雑に絡み合っている。
蝉原は、その反応を楽しみつつ、
スマートに受け流して、
「全部が君のため……というと語弊があるけれどね。俺には俺の目的がある。この世界の面倒事は邪魔だ。というわけで、しばらくは共闘しようじゃないか」
その提案は、悪魔の取引。
甘美で蠱惑的な言葉の裏に、深く鋭い落とし穴が口を開けている。
「ちなみに、お前の目的って?」
センは警戒を隠さず、視線を細めた。
「君を実力で殺すことだよ。だから、ナチュキとか、シュブとか、ああいう単なる世界終焉システムの暴力で死なれちゃ困る。世界が終わることはどうでもいい。俺が君を殺したあとの世界に意味はないから」
あまりにも迷いのない声音。
そこには狂気すらなく、ただ一点に研ぎ澄まされた意思だけがある。
「あるよぉ……いっぱい、あるよぉ。俺が生きていようと死んでいようと、世界の価値に変動はないよぉ……」




