13話 晴れている時の空はだいたい青い。
本日の3話目です(*´▽`*)
13話 晴れている時の空はだいたい青い。
「……ひでぇ言い方だねぇ……まあ、あいつがどんな対応を受けようがどうでもいいが……」
「ほかに何か質問は?」
蝉原の問いは、あくまで穏やかだった。
落ち着いていて、クールでスマートな大人。
キチ〇イ厨二病モンスター童貞のセンエースとは正反対。
センは、小指でミミクソをほじりながら、
「……ずっと疑問だったけど、お前、なんでここにいるの?」
視線を真っ直ぐに向ける。
「君がタイムスリップしたら、もちろん、俺もタイムスリップするさ。俺と君は一心同体。いつだって一緒、永久に共にベストフレンド」
皮肉なのか本音なのか、いまいち不明瞭な発言。
蝉原の言葉はいつだってそうだった。
本質を絶対に掴ませまいとする、断固たる意志を感じる。
センは、蝉原の瀟洒な不明瞭発言を軽やかにスルーして、
本質のみと向き合う。
「…………え、まさか、お前……ここから、俺に同行する気?」
「そのつもりだけど?」
「……ちなみに、なんで?」
「俺が君の大ファンだからさ」
気持ち悪いぐらい迷いのない答え。
センは首をゴキゴキと鳴らしながら、
「……ずいぶんとしなやかなファントムトークだな」
苦笑が、センの口元に浮かんだ。
自嘲とも皮肉ともつかないその笑みを残したまま、センはわずかに視線を逸らす。
真正面から受け止めるには、あまりにも厄介な口撃。
「認めてやるよ、蝉原。お前こそが真のセンエースだ」
「光栄の至りではあるけれど、いくらなんでも、その称号は俺の身に余るね。あまりにも重すぎる」
蝉原は肩をすくめ、いつもと変わらぬ柔らかな笑みを浮かべた。
冗談めかした口調だが、その言葉の響きは奇妙なほど誠実。
「……流石だぜ、蝉原。お前の嫌味には豊潤なコクとキレがある」
センの言葉には、感心と苛立ちが同居していた。
ファントムトークのキレに対しては称賛を、嫌味に対しては苛立ちを。
蝉原の言葉は、基本的に嘘ばかり。
だが『真のセンエースと言われたことが光栄の至り』であり、『その称号が身に余る』という感想だけは、紛れもない本音。
本音というより、蝉原にとっては単なる事実の確認にすぎない。
『晴れている時の空はだいたい青い』――それと同列の、ごく当たり前の認識。
しかしセンは、蝉原の発言を『高度で悪質な嫌味』として受け取る。
二人はいつも、そうやって丁寧にすれ違ってきた。
蝉原はそのすれ違いすら楽しみ、
センは普通に、きっちりと、少しだけイラつく。




