73659話 誰もが心に大罪を抱えている。
73659話 誰もが心に大罪を抱えている。
闇川の体から、どす黒いオーラが溢れだし、地面がえぐれた。
「……お前も異能者かい」
センはため息のような声で呟いた。
「私の中には、ラストの力も、スロースの力も、エンヴィーの力も、グリードの力もある。完全なる存在。この世界で最も強大な怪物……センエース、貴様なんかよりもはるかにぃい!」
闇川は全身を震わせ興奮し、黒い稲光が周囲を走る。
「確かに、すげぇ数値だ。存在値900京か……やばいね」
「センエース……よくも、私を殺してくれたな。貴様だけは絶対に許さない」
怒りに歪んだ顔で、闇川はセンにゆっくりと近づこうとする。
その歩みは重く、地面を踏むたびにひび割れが広がった。
だが、その狂気がセンに届くことはなかった。
とっくに、トコがタイムリープの準備を終わらせていたから、
「……闇川は、事前に、ヴァルハラから別の世界に隔離……これで終わりや」
トコは低く呟き、
サクっと、リライトを発動させた。
★
タイムリープしたトコは、
さっそく、センと相談し、闇川を隔離することにした。
念のため、元首相の闇川だけではなく、闇川一族を全員切り離した。
センが淡々と条件を書き換え、ヴァルハラから、別枠の世界へと送り出していく。
グラトニー闇川さえいなければ、あとはもう、トコが召喚する死者ラストだけで詰め切れる。
計算上も、戦力比から見ても、勝利の図は明白だった。
何度も何度もシミュレーションを重ね、抜け穴がないかを二人で潰していく。
今度こそ勝った……そう思っていた時期が二人にもありました。
しかし、
「――はははぁあああ! 『オレ』が最強だぁあああああ!」
次のループの戦場に響き渡ったのは、またもや狂気の歓喜。
スロースと同じく、『グラトニー』も、『闇川だけの特別な異能』ではなく、
一定以上の悪人であれば、誰でも、グラトニーを顕現できる可能性を秘めていた。
闇川を切り離しても、『別の誰か』の中で、同等の化け物が芽吹いてしまう。
こうなると、もはや、『悪人をヴァルハラ軍団として活用すること』は出来なくなる。
鍛えて戦力に変えるほど、グラトニーの芽が育つ危険が増すだけだった。
とはいえ、『心に闇を抱えていない者だけで軍団を結成する』というのは難しい。
人間である以上、どこかに欲望や嫉妬や憎しみが宿ってしまう。
なんだかんだ色々と考えた末に、結局、
センとトコは、黙々と条件を書き換え、戦略を塗りつぶしていき、
『グラトニーごとまとめてラストを殺すしかない』……という結論に至った。
そこからまたトコの長い戦いが始まる。
存在値900京を殺し切らなければいけないという……眩暈がするほど長い旅……




