6088話 ノーダメ……ではない?
6088話 ノーダメ……ではない?
やけくそで攻撃を命令するトコ。
死者ラストは、命令通り、
全身全霊で、生者ラストに猛攻撃を仕掛けていく。
砂煙が舞い上がり、光と闇がぶつかり弾ける。
火も水も精霊が奔流して津波の大火事になる。
無数の属性、山ほどの殺意が交錯するカオス。
空間が歪み、爆音が地を揺らす。
それを見てセンが、目を細めて呟いた。
「……お? あれ……ノーダメじゃねぇぞ」
気づいた。
ほぼ無傷ではあるものの……完全にダメージを消しているわけではなさそう。
「俺の攻撃の時は完全にノーダメくさかったが……死者ラストの攻撃に関しては、おそらく……99%カットとか、そんなところだろう。理由は知らんけど……ムリヤリ予測するなら……俺に対する『無敵』にメモリを使い過ぎていて、お前に対してまで完全な無敵を実現することができない……とかじゃねぇかな」
センの解説が、トコの頭の中にスッと入ってくる。
そのシステムは、自分も経験したことがあることだから。
ユズがロキに誘拐された際、トコは『トコとユズはダメージを受けない』という内容のプロット効果を発動させようとしたが、トコの能力が足りなかったせいで、ユズは死んでしまった。
全ての能力には『限界』がある。
『誰に対しても完全に無敵』……というのは成立しえない。
ゆえに、トコは『センの予想を真』と仮定して頭を回す。
(それやったら、『レベルを上げて物理で殴る』の法則で対応することも不可能やない。こうなったら……何度でもやり直して……ドラフトの力を鍛え上げて……ダメージ99パーセントカット状態でも殺し切れるほど……死者召喚能力を鍛えたる……)
握った拳に力がこもる。
決意と焦燥が混ざった熱が、体中を駆け抜けた。
呼吸を一つ整える。
喉が乾いてひりつく。
足裏で砕けた砂粒の感触を確かめ、視線を真正面に据えた。
迷いの残滓を押しつぶすように、背筋を伸ばす。
9073話 繰り返す。
さらにトコは繰り返す。
転生文学センエースを書いて投稿して経験値を稼ぐ。
その全てをドラフトの強化にブッ込んで、ラストと戦い、蹴散らされて、タイムリープをして、
また、転生文学センエースを書いて投稿して経験値を稼ぐ。
その全てをドラフトの強化にブッ込んで、ラストと戦い、蹴散らされて、タイムリープをして、
繰り返す。
繰り返す。
10073話 くり返ス。
薄明の机に画面の白光が差し、キーボードを叩く指が痺れる。
送信の音が鳴るたび、数値が積み上がる。
経験値のすべてをドラフトへ投じ、死者召喚技能を底上げする。




