6083話 死者ラストVS生者ラスト。
6083話 死者ラストVS生者ラスト。
音が遅れて響く。
大気が弾け、天地が反転するような衝撃波が走った。
死者ラストの拳が空気を砕き、衝突点の周囲では重力がねじ曲がる。
生者ラストは受け流すように身を翻し、指先から光線を放つ。
それはただの魔力ではなく、神の記憶が燃焼する白炎だった。
「色即是空/魔王」
「色即是空/魔王」
互いに高位の必殺技を放ちあう。
数字的には差があるが、使用できる力にはほとんど差がない。
生者ラストは、ヴァルハラ軍団を吸収したことで、数値を上げているが、ヴァルハラ軍団は、『特に有用な技能』を持ち合わせていなかったので、スキルに関しては別段変化していない。
――死者ラストは生者ラストの猛攻を正面から受け止め、灼熱の中を突き進む。
焦げた腕が再生し、拳が再び振るわれる。
肉体と肉体が激突し、天と地が震える。
殴撃一発ごとに空が割れ、雷鳴が轟く。
生者ラストの頬をかすめた拳が風を切り、
頬の血が紅い弧を描いて宙に散った。
「色即是空/龍王」
死者ラストの鋭い蹴りが生者ラストの腹部にめり込む。
「うげぇおっ!」
血を吐きつつも、
生者ラストは、すぐさま掌を地に当て、
「色即是空/五月雨」
次の瞬間、地面から無数の刃が立ち上がり、死者ラストの腹を貫いた。
しかし、死者ラストは呻きひとつ漏らさず、無理矢理にそのまま進む。
貫かれた身体が裂けるよりも早く、
「色即是空/輪廻」
再生の光が走り、完全な形へと戻る。
終わらない……互いの拳が交差する。
激突の中心で、二人の邪神がにらみ合った。
炎と闇、光と死。
二つの力がせめぎ合い、世界の輪郭が崩壊していく。
トコはその光景を見上げ、ただ一言、息を呑んだ。
(……いけるか……いけるやろ……もう、こっちのラストの方が強いんや……行け……いてまえ……殺しきれ!!)
死者ラストが、生者ラストを圧倒的な速度で追い詰めていく。
拳と蹴りが閃光のように交錯し、生者ラストの身体が後方へ弾き飛ばされた。
その衝撃波で地面が陥没し、瓦礫が宙を舞う。
その光景を見ていたセンが、興奮したように身を乗り出した。
「うぉお! すげぇ! これはいける! 完全に勝ったな! 風呂入ってくる!!」
「負けフラグたてんな!」
トコが即座に怒鳴る。
額に汗を浮かべながらも、目は戦場から離さなかった。
死者ラストの連撃が止まらない。
拳の軌跡が残光を描き、天地を震わせる。
このまま押し切れる――そう思った一瞬、空気の色が変わった。
生者ラストが、焦げた大地の上でゆっくりと手を掲げる。
その指先から、青白い光が立ちのぼった。
「葛葉ユズ……召喚」




