6078話 というわけで本番。
6078話 というわけで本番。
バラバラの木っ端みじんになったラストの身体が、粒子となって霧散していく。
淡い光が風に溶け、亜空間の闇へと消えていった。
戦場の残響だけが、いつまでも耳の奥に残る。
センは拳を下ろし、肩で息をついた。
焦げた匂いと鉄の味が喉を刺す。
その光景を眺めながら、静かに呟く。
「……これで終わってくれれば楽なんだが……本番はここからなんだよなぁ……」
心底しんどそうにため息を漏らす。
握った拳をゆるめ、血の滲む手首を回した。
筋肉が軋み、骨の軋む音が聞こえるほどの疲労。
それでも、休むことは許されない。
センは軽く体をほぐし、視線を周囲へ巡らせた。
異変が起きる気配を探る。
静寂が張り詰め、闇の奥がかすかに震えた。
――次の瞬間、空間が裂けた。
何もないはずの亜空間に、ゆっくりと穴が開く。
その向こう側から、冷たい気配が流れ込んできた。
白銀の髪が、再び揺れた。
現れたのは、ラストに瓜二つの美女。
ただしその瞳には、先ほどの彼女とは違う色の冷たさが宿っていた。
「お前がラスト妹か……それとも姉かな? まあ、どっちでもいいけどな」
センの声は乾いていた。
戦士としての覚悟が、再びその瞳に宿る。
ラストは双子の邪神。
二体倒さなければ、祖の災厄は終わらない。
空気が震え、世界が再び戦場へと変わり始めた。
「さて……それじゃあ、まずは、お前さんの『無敵力』とやらを確かめさせてもらおうか……」
ラストの特質の一つ。
それは、『双子の片割れを倒した相手に対して無敵になる』というもの。
「いくぞ、ラスト妹ぉおお! できれば死ねぇえええ!」
そう叫びながら突撃するセン。
休む間もない激闘の連続。
センの攻撃を、ラストは避けなかった。
センの拳が、ラストの顔面に直撃。
これだけ綺麗にクリーンヒットすれば、顔面が爆散してもおかしくない。
けれど、
「……ちっ」
ラストはケロっとしていた。
センは舌打ちしながら、バックステップで距離をとる。
「やせ我慢……している感じじゃねぇな。まさか、マジでノーダメなのか? マジで? それ、どういうシステム? 状態異常ですら、完全に無効化とかはできないんだぜ、普通」
と、言葉をつぶやくと、
そこで、ラストが、
「……センエース。あなたは私の片割れを倒した。もう、あなたの害意は私に届かない」
「嬉しげに歌うじゃねぇか。その程度のライムで俺の心が揺れると思うなよ」
そう言いながら、センはさらに猛攻撃を仕掛けていく。
炎、氷、雷、闇、斬撃、殴打、刺突――ありとあらゆる属性の力が次々と放たれ、空間が悲鳴を上げる。




