6066話 極論と曲論。
6066話 極論と曲論。
――局に入ってきた間崎は、堂々とセンエースを睨みつけた。
痩せた顔は日焼けで硬く、目には血の気が残っている。
世界中が見守る中、
――『センエースと間崎の対談』は挨拶もなく、初手から激しく始まった。
「センエース! あなたの暴挙はもう許せない! 私を殺したければ殺せ! 私を殺した時点で、あなたは明確な社会の敵となる! そうなれば本望だ!」
カメラの赤いランプが静かに点灯した。
センエースは、間崎をまっすぐ見据えたまま、微動だにしなかった。
静寂が、スタジオの空気を張りつめさせる。
センは、落ち着いたトーンで口を開いた。
「……SNSでお前のアカウントを確認したが……お前は戦争に反対してきたな?」
冷たい声が、マイクを通して世界へと流れた。
その一言が、間崎の中でわずかに残っていた『緊張』を一瞬で吹き飛ばす。
彼は身を乗り出すようにして答えた。
「そうだ! 人間が人間を殺すことを止めたくて活動してきた!」
堂々とした声が、照明の光を震わせるように響いた。
間崎の目には迷いがない。
その姿は、怒りと信念の境界で立つ、ただ一人の抗議者だった。
センエースは視線をそらさず、たんたんと口を開いた。
「俺は戦争を止めたぞ。俺という抑止力がある以上、今後、この世界で戦争は起こらない。……それでも俺が悪だと?」
その言葉は、まるで氷の塊を叩きつけるように、スタジオの床を冷やした。
間崎は眉間にしわを寄せ、胸の奥にこみ上げる感情を押し出すように叫ぶ。
「あんたは身勝手に選別をして人を殺している! 命を自分勝手に切り売りしているんだ! まるで家畜を殺すように! あんたはあんたの基準だけで他者を裁いている! 正義は独裁になった瞬間に、もう正義じゃなくなる!」
「正義ねぇ……人ごときが大層な言葉を使うじゃないか」
センエースの返しはまるで相手の核心をエグるよう。
その声の静けさが逆に鋭く、間崎の言葉を押し返していく。
カメラはその一部始終を逃さず捉え、画面の向こうで視聴者の呼吸が止まる。
間崎は、ぐっと奥歯をかみしめて、
「自分は神だと言いたいのか!」
「誰もそんなことは言ってねぇよ。お前ら活動家って、頻繁に、人の言葉を勝手に騙るよな。揚げ足をとって袋叩きにして、手前勝手な理屈を押し付けて、それが正義だと本気で信じている。その有害ぶりだけでもギルティだが……まあいいや。どうせだから、世界中に俺の意思を伝えておこう。俺は正義を騙らない。平和や平等を謳う気もない。その権利も資格もないからだ。そして、それはテメェらもそうだ」




