6054話 世界中の子供を親の前で拷問して皆殺しにすれば……
6054話 世界中の子供を親の前で拷問して皆殺しにすれば……
世の中の経験値システムは極めて数学的な等価交換。
もし、『殺戮レベルが上がれば上がるほど、センエースが弱くなる』という『弱体化ブースター』を取り除いた場合、
『世界中の子供を親の前で拷問して皆殺しにする』ぐらいのことをしないと、なかなか殺戮レベルは上がらない。
「あんたはアホやから、それができん。世界をうまい事平定しながら、救いを求める声に応えながら、その上で殺戮レベルを上げようとする。そして、上げたら上げたぶんだけ、あんたは弱くなる。世界を守るために、人類の大半から嫌われて、弱くなって……あんたはホンマにアホや。稀にみるドアホ」
言葉は刃よりも冷たく、部屋の空気を薄く削った。
トコの視線は揺れず、机の角に置いた指が一度だけ乾いた音を立てた。
蛍光灯の白がディスプレイに反射し、センの頬の陰影を硬く縁取った。
センは顎をわずかに上げ、
「いい挑発だ。買ったぜ。表出てストレッチしろ。いまから、かつてない死闘が始まる」
肩を回しながら首を左右に倒した。
頸椎がボキボキと鳴り、拳を握り開くたびに指の関節が小気味よく弾ける。
「……さっき、あんたは、『あたしが描いた小説は美化しすぎ』とかぬかしたな」
トコは息を短く吐く。
睨みつけるでもなく、ただ事実を置く調子で声を投げる。
「あん? ……急に、ずいぶんと前に話を戻すねぇ。会話下手?」
「あんたのことを美化なんてできるか。全部をそのまま書いたら、あまりに嘘くさすぎるから、こっちは、むしろ、あんたの『ガチでヤバすぎる献身』とか『異常聖人ポイント』を死ぬほど端折って書いてんねん。世界中の人間を守るために、山ほど絶望を背負いながら、何億年も、何兆年も、あるいはそれ以上に『地獄の底』を這いずり回って、戦ってきた……とか、そんなことを懇切丁寧に一から十までシッカリ書いたら、世の中に山ほどおる『常識を気取った連中』がなんていうか教えたろか。『スケールが無駄にでかすぎてピンとけぇへん』……以上や。……せやから、『常識かぶれのアホ』でも分かるところだけ切り取って、出来るだけ、面白おかしく書いて、ちょっとでも理解させようとしてんねやろがい! あんだけ調整しても、それでも『クソみたいな創作、草』とか、知能指数ゲロのアンチ暴言を吐くアホがおる! ふざけんな、くそがぁああ!」
吐き出された言葉の勢いが凄まじい。
トコは『はぁ、はぁ』と肩で息をする。
机の下で拳を作り、爪が掌に沈む。




