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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
永久閃光龍神L2章 ラストを待ちながら。

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トコ11話 旧い記憶。


 トコ11話 旧い記憶。


 ――轟音。

 鉄の塊が迫る。

 巨大なトラックがセンエースの体を薙ぎ倒し、鋼鉄の質量が骨も肉も砕いた。

 まばゆいライトが網膜を焼きつけ、全身を破砕する衝撃が走る。


 そして、暗転。


 次の瞬間、彼は泣いていた。


 母の腕に抱かれた赤子として。

 だが、その瞳の奥に宿るのは無垢ではなく、狂気めいた歓喜だった。


(……記憶もったままの転生! きたこれ! ひゃっほい!)


 産声は祝祭となり、意識はすでに完成していた。

 彼は理解していた――自分は転生する前、

 日本の高校生、せん壱番えーすであったと。


 歓喜に打ち震える心は、叫びを上げる。


(願わくば、ここが魔法のある世界でありますように!)


 ――そして、世界はセンの願いに呼応した。

 剣と魔法、モンスターの跋扈する理想郷が広がっていた。


 やがて月日が流れ、彼は二本の足で歩くようになる。

 三歳の口からこぼれた第一声は――。


「さあ、レベル上げにレッツゴー!」


「こらこらこら! どこへ行く気だ、セン!」


 新しい父が慌てて制止する。

 しかし幼子は一歩も怯まず、眼を爛々と輝かせた。


「西の森でモンスターを狩って、経験値を稼ぐのだ! どきたまえ、ソールさん!」


「三歳児がなにを言っている! あと、父親を『さん付け』で呼ぶな!」


「成せばなる。俺にはできる。おそらくは」


 その瞳は常軌を逸していた。

 未来を渇望し、常識を嘲笑う光。


 ここから始まるのは――最初の異世界転生譚。



 ――そこで、映像は途切れた。


 ★


「……あの怪物くん、なかなかオモロい転生人生やってるやん」


 トコはクスっと笑いつつ、一気に打鍵した。

 数分後、サイトには新たな更新が投稿される。


 内容は、今しがた彼女が目撃した《遠景》そのまま。

 トラックに轢かれ、赤子に生まれ変わり、三歳で『レベル上げしたーい』と叫ぶ狂気の幼児。


 ――瞬間、感想欄が爆ぜた。


『うわwww転生シーンきたwww』

『父親ソールさんのツッコミ草』

『これぞ真の転生文学』

『いや、文学ではない』

『リアルすぎる……マジでセンの過去を視てるだろ作者』

『いやぁ、ただの作者の妄想だろ』

『バズる(小並感)』


 PVが跳ねる。

 ブクマが増える。

 EXPの数値はさらに膨れ上がる。


 トコの胸は高鳴り続けた。

 だが――。


 画面に、冷たい文字が浮かぶ。


 ――〔PS/SYSTEM〕

 《センの記憶・遠景》の続きを閲覧するには、EXP:3,000,000 が必要です。


「……むちゃくちゃ多い!!!」


 六畳の部屋に、絶叫が響いた。

 その声はまたもネットのざわめきと重なり、炎のように拡散していった。



 ★



 ――そして夜は明ける。

 ここで異常事態が発生した。


 なんと、全国各地で『センの名』を掲げた暴動が連鎖的に発生し、火炎瓶や銃声が街を揺らしたのだ。


『センエースの名のもとに、腐った金を取り戻す!』


 炎が瞬く間に街路を覆い、逃げ惑う市民の悲鳴が木霊した。

 群衆は叫び、警察は圧倒され、テレビは臨時速報を垂れ流す。


 とんでもない事態。

 そのニュースを見ながら、トコは、


「……ぇ……これ……マジでやばいやん……いや、今までも十分、ヤバかったけど……これは……」


 不安そうに……しかし、趨勢を見つめることしか出来ない。

 そんな時、ニュースの続報が流れた。

 犯人の一人が、犯行声明文を出したのだ。


 『転生文学センエースが私を導いた。世界はセンエースのもとで一つになるべき。腐った世界を浄化しよう。みな、立ち上がれ。共に上級国民を皆殺しにするのだ』


 それを見て、トコの血の気がサーっと引いた。


「……あたしが書いた小説のせいで……こんなことに……」


 グっと奥歯をかみしめる。


「……ぐっ」


 自分にも何かできないだろうか、と考えるが、

 自分にできることは小説を書く事ぐらい。


「なろうに『そんなことはやめろ』みたいな小説を投稿しても……この事態は、たぶん、どうにもならんやろうなぁ……でも、やらんよりやった方がええか?」


 己の無力さを感じて落ち込むトコ。

 事態はさらに過熱の一途をたどる。



 ――だが、その混沌は長く続かなかった。



 ★


 ――渋谷スクランブル交差点。

 眠っていた怪物が目を覚ます。

 そして、


「……出たな。蛆虫ども。分かっていたぜ、お前らみたいなカスが出てくることは。なんせ、俺の『高校時代の得意科目』は世界史だったもんでね」


 全世界のモニターを通じて冷たく告げた。


「俺を理由に罪を犯した奴は――問答無用で極刑だ」


 その言葉と同時に、各地の暴徒は黒い渦に呑まれ、跡形もなく消えた。

 街に残ったのは、虚ろな沈黙と、拭いがたい畏怖ばかり。



 ★



「……えぐ……」


 全ての趨勢を見届けたトコは、青ざめながらも、またキーボードに手を伸ばす。


「心配する必要なかったな……どうやら、あの怪物くんは、責任の取り方ってもんを、重々理解しとるらしい」


 目撃した映像を、そのまま小説に変換する。

 『暴徒を裁く怪物』として。

 『世界を断罪するスペードのエース』として。


 投稿ボタンを押すや否や、世界は再び沸騰した。


『救世主だ!』

『いやだから、独裁者だって!』

『簡単に殺しすぎ! 命をなんだと思っている!』

『神を超えた裁き、きた!』


 PVは跳ね上がり、ブクマは雪崩を打つように増える。

 EXPの数値も、狂ったように積み上がっていった。


 ――そのとき、画面に最新のカウントが表示される。


 PV:1,230,456

 ブクマ:42,389

 EXP:1,482,773


 数字は止まらない。

 膨れ上がっていく。


「エグい上がり方やけど……200万まで、まだ遠いなぁ……」


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自作コミカライズ版深淵1話(37話)公開中!ここから飛べます。 『廃神~ぼくのループものクトゥルフ高校生活もついに100周目突入~』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
「きたこれ!」という狂気に満ちた転生シーンから、 まさかそれが現実の暴動に繋がるなんて、 今回の話はまさに規格外でした。
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