15話 色即是空。
15話 色即是空。
「一度、ラストと戦ってみてくれないか。その方が、最終決戦での対策とかも立てやすいと思うから」
「俺がお前のお願いを聞くといつから錯覚していた?」
「ちなみに、今、ラストは、俺の本体と戦っている。俺は完全な堅に徹して、時間稼ぎをしているんだ。その間に割って入って、ラストと戦ってみてほしい」
「お前の要望は理解した。しかし、それを受け入れるかどうかは別の話だ。……残念だが、却下だな。プランと方向性は支配されても、誇りだけは思い通りにならんぞ」
と言いながら、センは、
『本体蝉原とラストが闘っている亜空間』へと向かった。
その間、火の玉蝉原は、
ずっと、内心で『なんだ、こいつ』と、
本気でイライラしていましたとさ。
めでたし、めでたし。
★
亜空間で、蝉原は、ラストと戦っていた。
ラストの猛攻を、ひたすら耐えている蝉原。
と、そこに、
火の玉蝉原に案内されたセンが登場する。
「よう、蝉原。ハッピーかい?」
「今、ハッピーになったよ。君がきてくれたから」
「このセリフの文脈上におけるハッピーは病気のことなんだが……まあいいや」
そう言いながら、センは、
蝉原とラストの間に割って入り、
――ラストを睨みつけて、
「お前がラストか。ふーん……エッチじゃん」
そう言いながらも、ゴキゴキと全身の関節を鳴らし、
「聞くところによると、どうやら、『最強の災厄だなんだ』ともてはやされて調子に乗っているようだが……どっちが本当の災厄か……教えてやるぜ! くらえ! ダイナマイトキィイック!!」
問答無用で全力の飛び蹴りをお見舞いするセン。
はやくも勝負が決まってしまったか――!
……と思われたが、
ラストは、軽やかに回避して、
「色即是空/魔王」
向けられた右手が、巨大な漆黒の腕へと変形し、爆速のストレートをぶちかましてきた。
えげつない速度だったため回避はまったく間に合わず、
センは両腕でガードしようとした……が、
「ずがはぁああ!」
その巨大な腕は、センの腕ガードを貫通し、
センの心臓を直接殴ってきやがった。
「ぶへぇ! がはぁあ!」
大量の血を吐いているセンに、
後ろにいる蝉原は、
「彼女の『魔王』は防御を貫通できる半非実体性の一撃だよ。あと、リーチとサイズが自由自在というおまけつき」
「はよ言わんかい……ぐへっ」
そこからセンとラストの死闘が始まった。
★
――五分ほど戦ってみたところで、センは、
(あ、ヤバいね……こりゃ、強いねぇ……)
強烈に強いと理解する。




