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ミッション22 『夜、その後に・前』

 星空を見ながら女性陣がゆったりとあるく。京子を先頭にして隣にカグラや後ろにはカルメン、マリー、手を引かれて向日葵が続いてる。


「温泉温泉」

「そうさ、この島は活火山でね。彼方此方に天然温泉が沸いてるのさ、ほらアレだ」


 京子が指差す方向には湯気が立っており円形の大きな温泉があった。

 近くの小屋で服を脱ぐと何も身に着けて無い京子が先頭で小屋から出て行く。


「あのー水着は……」

「何、此処は女しか居ないんだ。恥かしかる事もあるまい、あの馬鹿には発信機をつけてある」

「そ、そうよね」


 カグラやマリー。向日葵なども次々と小屋からでると湯加減を確認しながら温泉へとつかり始めた。


「裸の付き合いってこの事をいうんだろうねー」


 ぶっきらぼうにカグラへと喋る京子。口からは溜息が出て気持ちよさをあらわしてた。


「そうかも、気持ちいー……」

「所でカグラ」

「あに?」


 気の抜けた返事をするカグラに京子が耳打ちする。


「あれは犯罪じゃないのか……」


 京子の目線の先にはお湯につかるマリーとカルメンの姿、二人ともお湯に二つの脂肪、即ち胸が浮いている。

 京子とカグラは御互いの胸を見てみるが、重力どおりに沈んでいた。無言で口までお湯につかる二人。


 洗い場の奥にある茂みでは鼻血を押さえて凝視する男の姿があった。ゴウである。


「アレは犯罪じゃないのか……」


 京子と同じ言葉を言うゴウ。

 湯気のせいではっきりとは見えないが、ゴウからはマリー、カルメンが温泉の端へと座っている姿が見え。その奥では京子やカグラが顔まで浸かっている姿が確認できた。


「どうする、もう少し前に出るか。しかし、これ以上行くとばれる危険性が」


 親指を噛み熱心に考え込む。


 温泉で泳いでいた向日葵が身体を洗う為に湯船からでる。真っ直ぐにゴウのほうへ走ってきた。


「向日葵ちゃん、走ると転ぶよー」


 カグラが湯船から注意を促す。振り向くと笑顔で答える向日葵。


「あのな、ワシを幾つとおもっておるのじゃ。そうそう風呂場で転んでたま……」


 喋り終わる前に転ぶ向日葵。足元には小石がありうつ伏せの状態で転んだ。

 そのとたんに首が取れゴウが隠れているほうへ跳んでいく。

 跳んできた首を見事キャッチするゴウ。首だけになった向日葵がゴウを見る。


「すまんのう、ナイスキャッチじゃ」


 首だけになった向日葵が喋ると、悲鳴をあげるゴウ。辺りの動物が一斉に鳴きだした。

 直ぐに胴体だけの向日葵が駆けつけると失神しているゴウの手から首を取り戻り身体につける。


 湯気のせいではっきりと見えなかった京子がカグラに聞いた。


「あれ、いま向日葵ちゃんの首がとん……」


 慌てて否定するカグラ、直ぐに京子に問いかけた。


「跳ぶ訳ないじゃない。それよりも、この悲鳴ってっ」


 二人で顔を見合わせると直ぐにタオルで隠して悲鳴の場所へ向った。既に失神しているゴウは向日葵に地面に落ちていた木の棒で突かれている。


「はぁ……この馬鹿は」

「向日葵ちゃん発信機はっ」

「んー。カグラ嬢、これ解除してるみたいじゃの。ほらこのブレスレットの部分をみい、通常は赤なのに青色になってるのじゃ。凄いの……これ普通の人には解除出来ない仕組みなのにじゃ」

「まーったく、どうしようもないな。取りあえず縛ろう」


 京子の提案でぐるぐるとタオルを巻かれその上からさらに縛られたゴウ。その顔に水が掛けられた。


「冷てっ」


 目が覚めたゴウ。第一に確認したのは足であった。


「あれ、なんで足が……桃源郷に、いや首が……」

「言いたい事はそれだけかしら?」


 カグラが声色を変えて喋る。

 木の枝に吊るされたゴウは顔を上げて周りを確認した。

 それぞれの顔が確認された。鬼のように怒っているカグラに京子、距離を取っているマリーに、それを慰めているカルメン。一人だけ楽しそうに笑っている向日葵。


「はぁーまったく此処まで馬鹿とは思わなかったよ」

「ちが、聞いてくれ、きょうっち生首が出て思わず悲鳴をっ」

「そんな物あるわけ無いじゃない。そもそも、それが跳んで来なかったらアンタはどうしたんだい」

「そりゃ、覗きを……あっ……」

「カルメンやっちゃって」

「わかりました、お嬢様」


 吊るされているゴウをさらに高く吊り上げるカルメン。立っているカグラ達とゴウの頭の高さが丁度同じぐらいになった。

 ゴウの頭の下ではせっせと石を並べる向日葵。


「出来たのじゃ」

「えっ何? 何するのっ、なんでそんな笑顔なのっ、そう、そうだっ聞いてくれっ」


 枯葉や枯れ木を一箇所に集めていたカグラや京子の手が止まる。


「覗きたくて覗いたんじゃない、君達の裸が魅力的でつい」

「裸しか魅力なくてごめんなさいねー」


 笑顔で答えるカグラは集めた枯れ木に火をつけた。火は直ぐに付き煙がゴウの顔面へと昇っていく。


「あちっ、くさっ。げふ、痛い、目が痛いっ」

「はぁ、アタシはこんな馬鹿が従弟と思うと心が痛いよ、安心しなアタシ達だって鬼じゃないんだ朝には解いてやるから。あっ煙はあと二時間は燃えるようにしとくから良い夢を見るんだね。さっ行こうか皆、確か反対側にも此処ほどでは無いけど大きめの温泉があるんだっ」

「そうね」


 反対側の温泉と聞いてゴウが反応する。


「まっ、反対側は、痛い、目が痛いっまってっ」


 ゴウのいう事を誰も聞かず女性達は離れていった。



 大きな石を並べて作られた露天風呂は湯気が酷く温泉の中に大小様々な岩が並んでいた。


「うわー大きい」

「そうだろう。実は先ほどの場所より広いは広いんだが、ご覧の通り湯船に岩が多くてね見通しが悪いんだ。なので普段は使って無いんだ、じゃっ着替え小屋の鍵あけてくるわ」

「へー。あら、こっちも白湯なのね、じゃっ早速入りましょうか」


 着替えを小屋に置くと先ほどと同じようにお湯に入る女性人。人騒動あったぶん全員がほっとした顔であった。

 お湯の中を泳ぐカグラ、皆が居る場所より離れて岩の影に行く。

 

「カグラーそっちは深いから気をつけてー」

「大丈夫だってーこう見えても泳ぎには自信が」


 何かにぶつかり泳ぎを止めるカグラ。肌色の何かを確かめるように触る、表面は柔らかいのに芯があるらしく中身は硬い。ペタペタとさわり上を見上げるとヤマトの仏頂面があった。


「なななっーーーーーー」


 少し高くなった場所に座っているのか、上半身だけがお湯から出ているヤマト。

 突然悲鳴をあげるカグラ。直ぐに京子が心配そうな声を反対側から聞いてくる。


「んー? 大丈夫?」

「――んでもない。うん、何でもないわ。至って大丈夫」

「そ? ならいいんだ」


 曖昧な言い訳をして上半身を出しているヤマトに指を挿す。小さな声で喋るカグラ。


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