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八十四話 二度目の惨劇、幕開けです

 月のキレイな、ある夜のことでした。


 突然辺りに轟音が響き渡ったかと思うと、少し遠くの方に巨大な建物が建ったのです。地面からせり上がって来る感じで、質量保存の法則どこいったのかなぁという感想がまず出て来ます。


 本来であればこんな呑気に構えているようなことではないのですが、ええなんと言いますか、この現象に心当たりがありまして。


 あまりの爆音に、寝ていたルナちゃんがわたわたと飛び起きて来て辺りを見回し出しました。


「な、なんスか︎何が起こったッスか︎はっ、まさか誰か夜這いに︎」


「どこから出て来たんですかその発想……」


 どこの誰がこんな地響き立てながら夜這いに来ると言うんでしょう。


「ルナちゃん、まずは落ち着いてください。多分あれはーー」

「どうしようッス、まさか世界の終わりッスか︎」


「なぜ夜這いより後にそれが出て来るんです……?むしろ、普通は先にそっちでしょうに。違いますよ。あれはおそらく、ダンジョンができた音です」


「ふへ?ダンジョンって地面から生えるもんなんスか!?」


 まあ、そういうリアクションになりますよね。ですが私としてはこれ二度目なので、さしたる驚きもないです。ああまたか、って感じですよ。


「ともかく、あれを調査する必要があります。残しておいていいものか、失くした方がいいのか」


「なんでッスかもったいない!せっかくダンジョンできたんスよ!?」


 テンション高いですね寝起きなのに……ハンパに寝て眠気がおかしな方向に作用したんですかね?


「人間の方々が足を踏み入れたら、誰も戻って来なかった、とかなったらイヤですし。難易度がどれくらいなのか、入ってみないとわからないんですよ」


 犯人はナノさんたちですから、そんなことになればかなり気が咎めます。またもや止められなかったわけですから。


 まあ現実問題、あの子たちのやることを事前に止めるのは不可能に近いんですけどね。


 辺りにいるナノさんたちの気配を探ってみますと、どうも隠れているようです。微かに声は聞こえるんですが。えーと……


『おいわい、楽しいのですー! よろこぶのですー!』


「……お祝い?」


 なんのお祝いでしょう……? こうして隠れている時点で、訊いても答えてくれないでしょうねぇ。


「今はもう夜ですし、あなたがこのまま寝るのであれば調査は明日以降にしますが。というか、なんならあなたはここで寝ててもいいんですよ?」


「大丈夫ッス今行こうッス!」


 ホントに元気ですね……いつも寝起きがこうならずいぶんと楽なんですけど。


「じゃあ行きますが……珍しくシルフさんの反応がないのが気になります」


 こういう時、真っ先に駆けつけて来そうなものなのですが。


 辺りをしばらく見回してみましたが、シルフさんがやって来る様子はありません。とりあえず置き手紙でも書いておこうかと思った、その時でした。


「すみません、ミーシャ様、お話があります」


 聞き慣れた声のした方を見れば、そこにはウンディーネさんの真剣な顔がありました。シルフさんの姿が見えない以上に珍しいですよ。ウンディーネさんが、あの泉を自主的に離れてここまで来るなんて。


「どうしました?そんなに難しい顔で」


 なんとなくイヤな予感がしつつも尋ねてみるも、返って来たのはとんでもない答えでした。


「その、シルフのやつからさっき連絡があったですが……どうもあの中に閉じ込められてしもうたようで……」


「はい!? ダンジョンにですか!? こんな時間になぜあんな場所に……」


 前回ダンジョンができた場所とは違い、今度できたのは森の近くのようでした。フィーマさんたちの住む森はもっと近所ですし、前に行っていた獣人の村からも離れています。なのになぜこんな時間にあんな場所に行ったんでしょう?


「すみません、うちにもようわからんくて……途中で通信が切れてしもうたんです。無事なんは間違いあらへんと思います」


「通信が途切れたとなると、連絡手段がないんですよね……」


 それにしても困りました。今からシルフさんを助けに行くとして、行けるメンバーは……


「ウンディーネさんは一緒に来ることは可能ですか?」


「ええ。さすがにこれはうちも行きます。泉の子たちは心配やけど、今回はシルフのやつのが心配で」


「となると……あのー、ルナちゃん、留守番とかは」

「却下ッス!」


「ですよねぇ……」


 そうなると、あとはクロノスくんに頼むしかないですかね……でもあの子寝てますし……結界の中で寝てるので、外の音とか聞こえないんですよね。


「いつ帰って来られるかわからないですし、一度起こして事情を説明して来ます。その間、ウンディーネさんはウィルちゃんに連絡してもらえますか?シルフさんから連絡が来たら教えてほしいと。フラウさん、シェイドさんを経由すればいけましたよね?」


「ええ、フラウのやつが起きとるかがかなり不安ですけど……強引にたたき起こしてでも、連絡取ります」


「お願いします。他に連絡手段ないですからね……」


 しかもこれ、ただの気休めなんですよ。ダンジョン内のシルフさんと連絡が断たれたということは、ダンジョンに入ったら連絡取れなくなる恐れがあるわけで。だとしても、もしもの時連絡が取れる可能性は高いに越したことはありません。


 さて、私はクロノスくんのところに行かないとですね。


 この時の私は、予想だにしていませんでした。クロノスくんのところに行くちょっとの間に、あんなことになっているとは。


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