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八十三話 紹介し忘れていた方々がいました 2

 個ではなく、群体で存在する精霊未満の生命。それがナノさんたちです。


 という説明をルナちゃんにすると、ポッカーンとしてました。


「え? え? どういうことッスか? 要するに、同じ子たちがいっぱいいるってことでいいんスか?」


「ええと、外見上はたくさんいるのですが、意思は基本的に一つなんです。厳密に言うと、いくつかの流れがありまして、その流れの中で群れで存在している方たちなんですよ」


「流れの一部が圧縮され、形を持ったのがわたくしたち精霊というわけです」


 シルフさんも一緒に説明してくれましたが、ルナちゃんにはちょっと難しかったようです。不思議そうにしてますから。


「ナノってこのちっちゃい子たちが集まって進化するとシーさんになる……ってことッスか? え、じゃあシーさんってナノちゃんたちってことッスか!?」


「元、ですが」


「シーさん元は空気だったんスか……」


「いえナノさんたちは空気じゃないですよ? 精霊の前段階ってところでしょうか」


 姿がハッキリ見えないですから、そう思うのもまあムリはないかもですけどね。それに肉眼で見えないサイズのナノさんたちをただ大きくするだけだと、たくさんのナノさんたちがまったく同じ動きでしゃべるので、混乱しそうですし。


 にしても、さすがに二文字の名前は間違えないんですね。いくらなんでも二文字で間違えたりなんてしたら、本気で困っていたところです。


『わたしたちは、ミーシャ様がうみだしたのですー』


「マジッスか!? え、センパイ神ッスか創造神なんスか!?」


「どうしましょう、簡単に文章に起こすと間違ってないですねそれ」


 この世界は私が創った、ってことになってるらしいですからね……確かに私はこの世界で最初の生命体ですけど、別に私が創り出したわけじゃないんですよ。少なくとも、能動的に創ろうとはしていません。


 どう説明したもんかと頭を悩ませましたが、ルナちゃんの興味はすでに違うところに移っていました。


「ナノちゃんって生き物扱いなんスか?」


『わたしたちは生命力が意思を持ったすがたなのでー、死ぬことはないのですー。なので生きてないと言われたら、生きてないのですー』


「???」


 ルナちゃんが助けを求めるようにこちらを見て来ましたが、生命の概念の話になって来ると私もよくわからないんですよ。というわけで答えられないので、気づかなかったことにしましょう。


 私の認識で言うと、生きるために必要な超常エネルギー、マナが意思と形を持ったのがナノさんたちです。純粋な力を行使できるからこそ、とんでもない現象をいともたやすく起こしているのだと思ってます。


 ただわかっていることは、かなり気分屋で、ナノさんたちが本気でやろうとしたり、またはイヤがることをさせるのはものすごく難しいということですね。


 ナノさんたちの言葉から推察するに、ナノさんたちは死なない存在を生命とは呼ばないのかもしれません。それがナノさんたちの中だけでの結論なのか、この世界での定義なのかはわかりませんが、興味深い話です。


 それを確かめるのは今度にして、ルナちゃんにどう納得してもらうかですね。


「とりあえず、あれです。魔法を使うのに必要不可欠な方たち、という理解をしてもらえれば問題はないです。この世界において、魔法を使うということはナノさんたちに協力してもらうみたいですから」


「なんでそこふわっとしてるんスか?」


「それはその、私はナノさんたちが存在しなかったとしても魔法使えるので……」


 実際、ナノさんたちが誕生する前から私、魔法使ってますし。というか魔法作ってますし。ナノさんたちの話によれば、私が魔法を使ったことをトリガーに生まれたそうですから、この場合私の方が先で間違いありません。


 正直に言ったのですが、ルナちゃんはとても釈然としない顔をしていました。


「なんかセンパイってズルいっすよね……超なんでもできるじゃないッスか」


「そんなことを言われましても……たまたま私が先にこの世界に生まれただけですよ」


「うぅ、うらやましいッスー!! あたしもこう、なんか……えっと、めっちゃすごいことしたいッス!!」


「すっごい漠然としてますね」


 もっと言いようがあったのではないでしょうか。もうちょっと語彙力磨きましょうよ。


「でもほら、その代わり私実体ないですから。ご飯を自由に食べられないですし、精霊さんたちは別にして、その他の人間たちと会話を成立させるのも厳しいわけで。何事もメリットとデメリットがあるんですよ」


「それは……そうッスね。それにセンパイに言ってもしょーがなかったッス。ごめんなさいッス」


「あ、いえ謝られるほどのことではないですから」


 ここで素直に謝るから、私も強くは言えないんですよ。一応、ちゃんと言えば納得してくれるんですもの。


『おはなし、終わったのですー?』


「ええまあ、だいたい」


 そう言うと、ナノさんたちがパアッと喜ぶ気配が伝わって来ました。


『なら、わたしたちといっぱいおはなしするのですー!』


「そう……ですね、前にそんな約束もしましたもんね」


『ルナさまとー、シルフとー、クロノスもいっぱいおはなしするのですー!』


「いいッスよ! ていうかあたしもいっぱい話したいことあるッス!!」


「自分でよければいくらでも付き合おう」


「しょーせーも、いっぱい話すであります!!」


 私たちは、そのまま陽が暮れるまでナノさんたちとのおしゃべりを楽しんだのでした。


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