表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/471

八十一話 肝心なのは味です!

 ようやくお好み焼きが完成しました。あの後人数分私が焼いたのですが、ルナちゃんがはまっちゃったらしく何度もやりたがって大変でした。クロノスくんは一回で満足してくれたんですけどね……


 とまあそんなわけでルナちゃんを説得するのにだいぶ時間を割いてしまいましたが、これでやっとお好み焼きが食べられます。


「ではみなさん、いただきます」


『いただきます』


 全員でいただきますを唱和し手を合わせ、すっかり忘れていたため急きょ作ったお皿に盛られたお好み焼きを食べます。


 ちなみにですがこの世界、普通におはしがあるんですよ。フォークとナイフを使う人口の方が多いみたいなのですが、ちゃんと使える人は使えるのだとか。どこで覚えたのか、シルフさんは器用に使いこなしていました。ドヤ顔で。


 シェイドさんは教えたら一発で覚えてくれ、ピィアさんはシェイドさんができたのを見て根性で覚えて持っています。持ち方が若干違いますが……まあ難しいですからね。


 クロノスくんにはまだ難しかったようで、フォークとナイフを使ってもらっています。さて一番の問題児と言えば。


「あなた、本当に日本人だったんですか……?」


 ものの見事に持てませんでした、おはし。予想通りっちゃ予想通りですけどね。


「し、仕方ないじゃないッスか!! うちたいてい洋食出てたんスもん!! テーブルマナーなら完璧ッス!!」


「まさかあなたのうち大金持ちで……?」


 たいてい洋食が出て、テーブルマナー完璧って……ああでもそう言えば、最初に来ていた制服高そうなやつでしたもんね。お嬢様学校のものっぽい。


「? いえ、普通の家ッスよ?」


「まずなにを持ってして普通なのかがとても疑問ですが、具体的にはどんな家だったんですか?」


「どんなって……うーん、三階建ての普通の家なんスけどねぇ。あ、三階建てって言うかあれッス、地上二階地下一階ッス!!」


「通常のお宅に、地下があってたまりますか」


 やっぱこの子けっこうなお嬢様なんですけど。これでこんなに会話がズレているのにも納得……できませんねコレ。なんかズレ方の方向性が、私のイメージするお嬢様とは盛大にかけ離れてるんですけど。


 ルナちゃんはと言えば、普通ワインセラーがどこのうちの地下にもあるんもんなんじゃないんスか? と首を傾げていました。ええもうこれまごうことなきお金持ちですね。


「でも、前にクラスメイトの家にお邪魔させてもらったことあるッスけど、うちの十倍くらいおっきかったッスよ? 池に鯉泳いでたッスし」


「それは次元の違うお金持ちですね」


 本当に実在したんですね、そんなコテコテの高級純日本家屋。よくアニメで見かける、お金持ちキャラ(和風)の住んでる家です。あ、たまに日本大好きな外国人とかハーフキャラも住んでますが。


 まあどちらにせよ、超高級住宅ですよ。うちも貧乏ってわけじゃなかったですけど、さすがに地下なんてないです。割と古かったですし。築二十年くらいだったはずですし……見た目は洋風でしたが、サイズだけで言うならあれです。ネコ型ロボットの居候するあの家が近いです。


 話が脱線しました。味はどうなのかと思いみなさんに訊いてみますと、かなり好意的な返事がありました。


「さすがはミーシャ様です! このように美味なものをお作りになるとは! 天才です!!」


「私が開発したわけじゃないんですけどね……」


 この世界にまだなかったものを作っただけで、私はただ記憶の中のレシピ再現しただけなんですよ。ここまで喜ばれると、微妙な気分になります。


 ピィアさんはまあまあだ、とだけ言い、シェイドさんはおいしいですねと笑顔。クロノスくんは口の周りをソースでべたべたにしながらがっついています。


「センパイセンパイ、これおいしとはあたしも思うんスけど、お好み焼きかって言われるとなんか違う気がするんス」


「そうなんですか? では私も食べてみたいですので、身体貸してください」


「いいッスよ」


 というわけでルナちゃんの身体を借りて食べてみますと、ルナちゃんの言葉に納得しました。


「確かに美味しいですが……そうですね、かつお節と青のり、あとマヨネーズがほしくなる味です」


 本物のお好み焼きを食べたことがないみなさんには好評ですが、お好み焼きを食べたことのある私たちとしてはなんだかコメントに困ります。おいしいって言ってくれてるので、みなさんがいいならいいんですけどね。


 それにしても久しぶりですねぇ……あったかい食事、それも大勢で食べるのなんてどれくらいぶりでしょう。生きてた頃も滅多になかったです。


 一度クラスメイトの誕生日会になぜか呼ばれたことがありましたが、それ以来でしょうか。私、一言も話すことなく終わりましたけど。


 そう考えると、こうしてワイワイ食事をするのって初めてかもです。両親がそろうことなんてほぼなかったですし。


 そんなことを考えていますと、突然ルナちゃんがこんなことを言い出しました。


『センパイセンパイ、次はなんか甘いもの食べたいッス!! 作ってくださいッス!!』


「甘いものですか……そうですね、また機会があれば。その時は、ルナちゃんにだけ特別に、かぼちゃの煮つけでも作ってあげましょう」


『甘いっちゃ甘いッスけどそれは想定外の甘さッス!? 普通においしいお菓子がいいッス!! そんな特別いらないッスよー!!』


 ルナちゃん、涙目になる気配が。リアクションが面白いので、ついからかってしまいました。反省はしてないです。


 まあ、あれです。今度は無難にクッキーでも作りましょうかね。その今度が、いつになるかは不明ですけど。


 こうして、お好み焼きパーティー(?)は幕を閉じたのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ