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六十七話 ようやく紹介ができます

「あらためまして、今日はルナちゃんとクロノスくんを紹介に来ました」


 全員で闇恵山のシェイドさんの住む洞窟へ行くと、ようやく落ち着くことができました。一応、ピィアさんも一緒です。もう少しシェイドさんのことを考えるという条件で、一緒にいられることとなりました。


 この子元ストーカーなんですけど、いいんですかね? いえまあさっきはなんだか面倒になってうっかり勧めてしまいましたが、ピィアさん一途系のヤンデレっぽいんですよ。大丈夫ですかねホント。


 シェイドさんの好み的にはセーフのようなので、今後に期待ということにしておきましょう。


 私がルナちゃんたちを指すと、シェイドさんはさっきのことがあったからか深々と頭をさげました。


「みなさん、ありがとうございます。私はシェイド、闇の精霊です」


「闇! 超カッコイイッスね! 闇属性とかいいッスねぇ!! あたしは月の女神、ルナッス!!」


 自分で女神名乗りましたよこの子。いえまあ間違いではありませんけど、この子一度も神っぽい行いしてないですよ? だからと言って私が神らしいことをしてるかと訊かれると、なんとも言えませんが。


「ルナ様ですね、よろしくお願いします。そちらがクロノス、でしたね」


「はじめましてであります。シェイドのあにさんと呼んでもよろしいでありますか?」


「ええ、構いません」


「ではシェイドのあにさん、よろしくであります」


 クロノスくんがニコニコと言うのを見ると、やっぱり和みますねぇ。シェイドさんも見た目は相当のイケメンですし、目の保養にはいいんですけどね。今回の事件でもわかるように、この方押しに弱いのです。なので自分の意見があまり言えないため、このように困ることもあるんですよ。


 シェイドさんの悪いところでもありますが、いいところでもあるので、今回はなにも言いませんけどね。自力で反省していただけると助かります。


 そしてふと思ったのですが、この二人がもしも結婚ということになったとして、子供ってできるんでしょうか。現在ピィアさんの姿は人間であり、なんと言うか形だけなら可能だと思いますが。子孫が残せるかどうかは別問題でしょうし。


 気にはなりますね……これはエルフやドワーフについても同じことが言えます。それ以前に、精霊さんってどこまで人間と同じ身体なんでしょうね? 私の場合、あまり遠出しないのでこの世界の細かいところはよくわからないのです。


 もしかしたら、どっかではわかってるかもしれせん。うーん……今度ちょっと旅でもしてみましょうかね? 一応世界の中心にいるわけですし、色々知っておいた方がいいでしょう。ルナちゃんという後輩もできたことですしね。


 そんなことを考えていたせいでしょう。いつの間にか、話は妙な方向へと突っ走っていました。


「――というわけで、あたしとしては料理ってやっぱり必須スキルだと思うんス!」


「先刻、わらわもそう思ってチャレンジしてみたのだがの。ダーリ――、えと、シェイドさんにはほとんど食べてもらえんかったの」


「申し訳ありません。私に限らず、精霊にはみな必要ないのです」


「自分も食事はほとんどしないな。しようと思えばできるが……」


「しょーせーは、いちどもしょくもつを食べたことはないであります。くうきちゅうのマナさえあれば、それでじゅうぶんですゆえ」


「えーでももったいないッスよ! せっかくなんスから、異世界料理を楽しもうッス!!」


 ふむ、どうやら食事についての話のようですね。そう言えばさっき、ピィアさんは謎の物体をシェイドさんに食べさせようとしてましたね。たぶん、あーんがやりたかったのでしょう。


 ピィアさんのシェイドさんの呼び方が変わっていることにつきましては、先ほどの話し合いの結果だったります。シェイドさんがちゃんと認めてくれるまで、一線を引いた付き合いするためだそうで。たしかに一方的にダーリン呼びされても困りますからね。


 それにしても料理と来ましたか。ここにいるメンバーで食事の必要があるのって、ピィアさんとこの提案をしたルナちゃん本人だけなんですよね。


「ルナちゃん、女子力を見せる方法は他にあると思いますよ?」


「そうかもッスけど、でも料理って大事じゃないッスか! というかあたし、納得できてないんス! なんで昨日の晩ごはんその辺の木の実だけなんスか!? おいしかったッスけど!!」


「じゃあいいじゃないですか別に。マズいならともかく。素材そのままの味を楽しむのもいいと思いますよ?」


「そのまま過ぎるッスー!!」


 ワガママですねぇ……それとも、私がズレているんでしょうか。私、食事できませんから。もし私に実体があったら……うーん、料理はおいしいに越したことはないですからねぇ。自分でなにか作っていたかもしれません。


 幸いほとんど一人暮らしみたいなものでしたから、家事は一通りできます。当然、料理もできました。そう考えると、やはり自炊していたと考える方が自然ですね。


「わかりました。でもルナちゃんの場合あれですよね。ピィアさんの女子力うんぬんよりも、自分のご飯事情をどうにかしたいんですよね?」


「だ、だっておいしい方がいいじゃないッスか……」


 むう、と口をとがらせるルナちゃんでしたが、素直に認めてはいます。ならまあ、協力しないこともないでしょう。


「ならこうしましょう。私以外の方は食べようと思えば食事ができるわけですし、ここは一つどこかにキッチンを作るので料理教室を開いてみるということで」


「いいッスねそれ! よしピィさん、あたしと一緒に胃袋をわしづかみにするような料理を作るッスよ!! えいえいおー!!」


「お、おー?」


 ルナちゃんは誰の胃袋を掴む気なのかは不明ですが、そんなこんなでお料理教室が開催される運びとなったのでした。


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