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五十三話 精霊さんたちに紹介しましょう

 この世界で暮らしていくにあたって必要なので、ルナちゃんを精霊さんたちに紹介することになりました。フィーマさんはこれから執務があるため帰りましたが、クロノスくんはついて来ることになりました。クロノスくんはクロノスくんで、シルフさんとウンディーネさんにしか会ったことないので。


「しょーせー、とってもたのしみであります! シルフのあねさんとウンディーネのあねさん以外のせーれーに会うのははじめてでありますので!」


 ルナちゃんよりも、クロノスくんの方が遥かにテンション高いです。やっぱり、動けるようになったのがよほど嬉しいのでしょう。


「ルナちゃん的には、精霊さんってどう思います?」


「そうですねぇ……その精霊さんたちって、あたしに魔法の力を授けてくれたりするッスかね!?」


「すみません、どちらかと言えば私たちが授ける側なんでムリです」


 精霊さんたちも魔法は使えますが、私たちの方が存在の格としては上なんですよね。なので精霊さんから魔法をもらうのは、難しいと思われます。


 ショックだったのか、ルナちゃんはしょぼーんとしていました。確かに精霊直伝の魔法とかって、とても厨二っぽいですからね。


「でもあれですよ。ルナちゃんも普通に使えると思いますよ、魔法」


「ホントッスか!?」


「今度教えてあげますから、まずはウンディーネさんに挨拶です」


 泉にやって来た私たちは、いつもの通り動物たちとたわむれるウンディーネさんに声をかけました。


「こんにちはウンディーネさん。お久しぶりですね」


「こんにちはです。本当に久しぶりですわ。見たことない子がおりますけど……ええとそっちの子ぉは、ミーシャ様の妹さんとかですか……?」


 妹、ですか。見た目に関してはまったく違うんですけど、どこを見てそう思ったんでしょう。ロリ姿になったルナちゃんと神バージョンの私に、見た目の共通点なんてあるわけないのですが。


「どうしてそう思ったんですか?」


「なんとなく、同種の力を感じたんで……違うんかったから申し訳ないです」


 なるほど、そういう理由ですか。ウンディーネさん、なかなか鋭いです。外してはいますが、そこまで遠くないですから。


「違うには違いますが、遠くはないです。私の同郷とでも言えばいいんでしょうかね。後輩のルナちゃんです」


「ルナッス、よろしくお願いするッス、ウインディーさん!」


「ええと、うちウンディーネなんやけど……」


「じゃディーネさんッスね!」


「いやなんちゅうか、間違ってはあらへんけど……よ、よろしゅうお願いします」


 ウンディーネさん困ってるじゃないですか。私の時も名前うろ覚えでしたし、人名覚えるのが苦手なタイプとかですかね?


「ちなみにルナちゃん、さっきの女性とこちらのお二人の名前、言えますか?」


「え? えーっと……リーマさんとシルクさんとクロスケくんッス!」


「全員違いますよ……」


「あれ?」


 フィーマさんはまだわかります。おそらく、娘さんの名前であるリーシャと混ざったのでしょう。他の二人はなんとなくで覚えてたんでしょうね……


「正しくは、フィーマさんにシルフさんにクロノスくんです」


「じゃあフィーさんとシーさんとクロくんッスね!」


「本人がいいならそれでいいですけども……」


 この場にいる二人は苦笑いながらも了承してくれたのでいいですが、フィーマさんは最初面食らうでしょうねぇ……今度会ったら、謝っておきましょう。


「ま、まあとにかくウンディーネさんはこれでOKです。今日は顔合わせ程度ですし。三人は連絡のつく精霊さん、いますか?」


「しょーせーはそもそも、だれにも会ったことがないゆえパスをつなげられませぬ」


「そう言えばそうですね。お二人は?」


「フラウちゃんは応答せんです。たぶん、寝とるんちゃいます? あの子、よー寝る子やし」


 氷の精霊の子ですね。あの子、私まともに会ったことないんですよね。一応生まれた時に、ちょろっと会話はしましたけど。それ以来、ずっと氷山に引きこもっているので。どうもあそこから出ると極端に力がなくなってしまうみたいなんですよね。氷属性なので、仕方ないと言えば仕方ないです。


「……ウィルとは繋がりました。今、極光の都、シャイラーにいるそうです」


「シャイラーですか……遠いですね」


 シャイラーがあるのは、ここからけっこう離れたところです。地球で言うと、東京から広島くらいでしょうか。少なくとも、歩いて行ける距離ではありません。ですが他の精霊さんたちとの連絡手段はありませんし、会いに行くとなればやはり直接話の通じる子の方がいいでしょう。


「では、ちょっと瞬間移動でもしましょうか。みなさん、これから座標の設定をするので待っていてください」


「ざひょー? なんスかそれ?」


 なぜか一番ピンと来ていない様子なのは、ルナちゃんでした。中学生だったんですから、座標くらいわかりましょうよ。


「さて、こんな感じですかね。それではウンディーネさん、今日のところはおいとまさせていただきます」


「ええ、またいつでも来てください」


 笑顔で手を振るウンディーネさんに手を振り返した私は、おおざっぱに見当をつけた座標へ意識を集中させました。


「私もシャイラーには直接行ったことはありませんが……まあ、だいたいの場所はわかるので大丈夫でしょう。いきますよ。三、二、一!」


 主にルナちゃんのために声に出してカウントダウンをします。他のお二人は魔法に慣れているので、たぶんいらなかったでしょうが。


 カウントが終わった瞬間、ぶつりと景色が変わりました。本当に一瞬だけの変化で、まばたきをしていたら見逃すレベルです。


「え? なんスか? なにが起こったッスか!?」


 状況を理解していないルナちゃんのために、私は目の前の集落を指さしました。


「あそこが今言っていた極光の都、シャイラーです」


 そこにあったのは、淡い光に満ちた空中都市(・・・・)でした。


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