表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/471

二十九話 シルフさん回ってやつです 2

 休憩後。再び魔法を使うと、シルフさんがいたのはノームちゃんのところでした。ていうかシルフさん、行方不明スキルの高いノームちゃんをどうやって見つけたんでしょう? まだ精霊間のネットワークはできていないのですが……


 不思議に思いましたが、それは後回し。今は、シルフさんとノームちゃんの会話の方が気になります。


「ノーム、訊きたいことがあるのだがいいだろうか」


「おう、珍しいのですな、シルっちがそんなこと言うなんて。どーんとなんでも訊くのですな!」


 短い手で自分の胸を叩いてそう言うノームちゃんは、超かわいいです。今の私が唯一もふれるのがノームちゃんなので、できればもっとしょっちゅう会いたいんですけどねぇ……


「一般的に、なにかもらえるとするならばどんなものがいいだろう」


「んー? そんなの、もらう人次第なのですなー」


「なんだと!?」


 その発想はなかった! とでも言いそうなシルフさんに、こっちが驚きです。でも、そうですね。シルフさんが誰かにものをあげるだなんてこと初めてでしょうから、しょうがないと言えばしょうがないかもしれません。


 そこでふとノームちゃんは、なにかを思いついた顔になりました。もふもふな毛のせいで表情がわかりにくいため、断定はできませんがたぶんそうです。


「シルっちは、なにかをあげたいのですな?」

「い、いやっ!? なにを言っているんだノーム! そんなことあるわけがないじゃないか!!」


「? シルっち、ミーシャ様大好きなのですな。たまに花とか摘んでいくの、オイラ知ってるですな。だからミーシャ様に、たまには変わったものを贈ろう! ってなったのかと思ったのですなけど……」


「……」


 シルフさん、すごい墓穴掘ってます。けどこれで、プレゼントの相手が私でないことだけは確定しました。なんとなーく誰にあげたいのか予想はつきましたが、面白いのでこのまましばらく見守ることにしましょう。


「と、とにかくだ! なんの気なしに言ってみただけで、これは、その……そう、ただの雑談!! 雑談なのだ!!」


「でもシルっち、わざわざオイラに連絡するのに、ドリっち経由したのですな。なのに雑談したかっただけですな?」


「そ、それはだな……!!」


 なるほど、そうやってノームちゃんと連絡取ったんですね。納得です。ていうかノームちゃん、天然で言ってるんでしょうが、それ以上突っ込んで訊くとシルフさん泣いちゃいかねないですから手加減してやってくださいな。すでにちょっと涙目ですし。


 ちなみにドリっちというのは、おそらくドリアードさんのことでしょう。


 しばらく目を泳がせていたシルフさんでしたが、なにか適当な理由をつけ誤魔化した模様です。そのまま、ダッシュでその場から離れました。魔法まで併用したのか、すごい早いです。


 そして亜音速くらいありそうなスピードのまま向かった先は、なんとウンディーネさんのいる泉でした。


「珍しなぁ、自分がうちのとこ来るなんて。なんや、槍でも降らす気かいな?」


 ひょこっと姿を現したウンディーネさんは、目をぱちくりとさせて本気で驚いているようでした。私も今、すごく驚いていますよ。あのシルフさんが、ウンディーネさんのところまで自分の意思で行くだなんて。


 シルフさんもその自覚があるのか、どことなくバツが悪そうです。


「あーその、なんだ。なんと言うか、少々用があってな」


「そりゃ用がないなら、自分がこんなとこまで来るわけあらしまへんもんなあ。それで、なんの用なん? 魔力のパスつないで来んかったっちゅうことは、緊急の用件っちゅうわけではなさそやし」


「確かに緊急ではないんだが、な……」


 シルフさんが葛藤しているのが、はたから見てよくわかります。プレゼント選びは手伝って欲しいけれども、ウンディーネさんに貸しを作るのが嫌なのでしょう。なに言われるかわからないですし。私としては、ここに来ようと思った時点で感心しますけどね。


 シルフさんの様子になにかを感じたのか、ウンディーネさんはいつになく神妙な顔です。


「うちのことキライな自分が、こんなとこまで来たんや。どんなに下らんことでも、話くらいは真面目に聞いたる」


 ウンディーネさんにそう言われ、決心がついたようです。


「……その、お前はどんなものをもらえたら嬉しい?」


 ですから、その訊き方では伝わらないと――

「せやな、心のこもったもんならなんでも嬉しいわ」


 サラリと答えられたその言葉は、真理を突いたものでした。そうです、プレゼントとは気持ちが大事なのです。もしかして、ウンディーネさんは今の質問だけでシルフさんの意図をくみ取ったってことですかね? だとするとこの二人、本当は案外仲がいいのかもしれません。


「心がこもっていれば……」


「そう言えばうち、ちょいと近くの村まで行く用があったんやった。そん時に、色々見て回るかもしれへんなー」


 どこかわざとらしく言うウンディーネさん。やっぱり、シルフさんがなぜ突然そんな質問をしたのかわかったみたいです。


 それを聞いたシルフさんは、苦笑いを浮かべていました。


「お前、ここを離れたくないんだろう? ムリをする必要はない。その、なんだ。助かった」


 どこか照れたように目を逸らしてそう言うと、シルフさんはその場を後にしました。その後ろ姿を見送るウンディーネさんは、どこか呆れたように肩をすくめています。いい勘してますよ、ウンディーネさん。


 それからシルフさんはあちこち見て回り、最終的にプレゼントを決めたようです。ようです、なのは、私が途中で魔法を解除したため。プレゼントの内容を、貰う本人でもない私が先に知るわけにはいきませんからね。


 さて、明日はフィーマさんのところにでも行きましょうかね。


 ついでに私はなにをあげようかなーと、空中にフィーマさんが喜びそうなものリストを作ることにしたのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ