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百二話 宇宙人にさらわれたのでしょうか 1

 ウィルちゃんが持っていた最後の球。それは鮮やかな赤い色をしていました。


 負けを認めたウィルちゃんが正気に返ると、すぐにこれを渡してくれたのでだいぶ楽でしたよ。ウィルちゃんはわずかながら理性があったようで、そのせいで直接的な勝負を挑んで来なかったみたいなのです。


 確証はありませんが、おそらくこれはウィルちゃんが一番魔法に対する耐性が高かった、ということなのでしょう。ルナちゃんは魔法の適性があれなので言わずもがなですし、クロノスくんは精霊最年少ということもありそこら辺はまだ発展途上ですから。


 さて、これで三つの球が揃ったわけですが……


「緑、黄色、赤……ここまでくれば、これがなんなのかは明白ですね。ウィルちゃんとクロノスくんはともかく、ルナちゃんにはとても見覚えがあるものだと思いますよ」


「え!? なんスか!? 緑と黄色と赤……ううむ、黄色じゃなくて青だったら御三家なんスけど……あ、わかったッス、初代なんで今から青を探すんスね!?」


「違いますよ。言われてみれば確かにそうなりますが、三つで考えてくださいな。答えは、頭上を見ればわかりますよ。あそこ、なにがありますか?」


 そう言いながら斜め上を指すと、釣られてクロノスくんたちも上を見ました。


「空があるッスね」


「それ以外でお願いします」


「むむむ、わかったッス空気ッスね!?」


「すみませんルナちゃんには過度な期待でしたね。正解は信号です」


「はへ?」


 ポカーンとするルナちゃんは私の手元で浮かぶ三つの球を見比べると、納得したようにぽんと手を打ちました。


「あ、それで三色なんスね!? 赤と青と黄色!!」


「ええ、最初が緑だったので混乱しましたが、よく考えると信号の青ってだいぶ緑ですからね」


 引っかけと言えば引っかけですが、この場合話をややこしくしたのは昔の日本人ですかね。緑と青をごっちゃにして呼んでいたわけですから。


 とまあそんなわけで球の正体がわかったので、私たちは球というか色がない信号機を手分けして探すことになりました。


 ものの数分ほどでクロノスくんが見つけてくれたのでそこに行くと、見覚えがあるのに違和感がヒドい物体が鎮座していました。


「なんでしょう。信号機って空っぽだとここまで違和感あるんですね」


「なんかオブジェクトっぽいっすよねー。現代アート的な」


「それはもしやオブジェって言いたいんですか?」


「そうそれッス!!」


 なんで余計な文言付け足してるんですか。クトが余計ですよ。


 どうでもいいことを話していても時間をムダにするだけなので、とっととこの三つの球をはめちゃいましょう。


 三つすべてをはめ終えると、若干音のズレたファンファーレが鳴り響きました。


『おめでとうございます!! あなたたちはすべての試練を乗り越えたので、合格です!! 外に出してあげましょー!!』


 やたらとハイテンションなそんな声が聞こえたかと思うと、次の瞬間にはもう私たちがいたのは本屋の前でした。


 ふと足元を見れば、そこに転がっているのは一冊の本。


「やはり本が原因でしたか。タイミング的にはそうだと思ってたんですけど、確証なかったんですよねぇ」


「って、ことは。あたしら今まで本の中の世界にいたんスか!? 長年の夢が叶ったのに、写真取り損ねたッス!? センパイ、もう一回行くッス!!」


「絶対にイヤですよ。そんなことよりも、今はシルフさんを探すことを優先しないと」


「うう、せっかく幼稚園児の頃からの夢が叶ったッスのに、全然うれしくなかったッスよぉ……」


 そんなことを言われましても。たしかに私も思ったことありますよ? 本の中の世界に行きたいなぁって。でもそれは行く世界が選べるから思うことであって、その本が辞書とかだったらイヤですよ。最悪奴隷とかいる系の本の世界に入ってしまえば、私奴隷一直線な自信があります。


 今の身体なら大丈夫でしょうが、元々の私の身体貧弱でしたからね。小さいですし、誘拐はとても楽だったと思います。ほぼ確実にロリコンに売られますね。


 それ以上考えたところでげんなりするだけなので、この辺りで思考は切り上げましょう。


 本屋のそばは危険という判断の結果、私たちは次のエスカレーターへと向かいました。


「なんかずいぶん移動したッスけど、現在地ってどこなんスかね?」


「さぁ……地図は当てになりませんし、エスカレーターを使わないと行けない箇所が意外と多かったですからね。まったくわかりません」


「ミーシャ様、みるであります!! なんかカラフルなはこがいっぱいあるのでありますよ!」


 先行していたクロノスくんのそんな声が聞こえてそちらを見れば、私たちがたどり着いたその場所はなんとゲームセンターでした。


「なるほど、そう言えばこういうところはUFOキャッチャーがやたらありますよね」


「あたし、あれすごい苦手なんスよねぇ……一回一万円使っても景品がどーしても取れなくて、それで店員に文句言ったら逆ギレされて、結局その店出禁になったことがあったッスねぇ。それ以来、あのタイプはやらなくなったッス」


「いやなにやってんですかあなた」


 UFOキャッチャーに一万円使うのもあれですけど、それで店員に文句って……ああいえ文句を言うのはわかりますが、出禁にされるってヤバイじゃないですか。ヤバそうな店の店員に文句を言うって、かなり勇気要りますよそれ。文句なんて言わずに、警察に相談ですよ。


 だって普通一万円も使ったら、快く景品取りやすい位置に変えてくれますよ。それがないってことは、その店取れない感じのやつですよ絶対。


 そもそもの話一万円も使う前に自重しなさいという話なのですが、ルナちゃんたぶんお嬢様だったと思うんですよ。どのレベルかは知りませんが、どれほどお金持ちでもルナちゃんならこっそりゲーセンとか通ってそうです。なのでムダにお金を持ったカモだと思われた可能性が激高ですね。


 ルナちゃんって騙しやすそうだなとか考えながらゲーセンに近づくと、ふとウィルちゃんが辺りをきょろきょと見回し出しました。


「どうしました?」


「今、近くでシル姉の声が聞こえたですの!!」


「本当ですか!? 私にはなにも聞こえませんでしたが……」


「あ、ええとそうじゃなくて……こう、シル姉の思念? っぽいのが伝わって来たですの!!」


 なるほど、そっちですか。通信が来たというでのあれば納得です。


 そう納得した矢先、目にとんでもないものが飛び込んで来ました。


 やたらと大きな、縦横三メートルは軽く超える筐体の中。そこでとても困った様子で座り込む、涙目のシルフさんと目が合いました。


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