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百話 あとはウィルちゃんだけですが……

 なぜかポーカーで対決することになった私たちでしたが、なんとか私が勝利をおさめました。完全にカード運であり、よくギャンブル系のマンガとかで見るよう、カードのシャッフルをすべて計算して~なんてすごいことをしたわけではないので、すごい申し訳ないです。


 次の瞬間、ボンッという音とともにクロノスくんが煙に包まれると、その煙が晴れた時には元のクロノスくんに戻っていました。


「……はっ!? しょーせーはなにをしていたでありますか!?」


「わー、このくだり二回目ですー」


 すっごいデジャヴが。このままいくと、あともう一回おんなじ光景を見ることになりそうです。割と勘弁してほしいですねぇ……


 微妙に憂鬱になりながら、尻もちをついて目を白黒させるクロノスくんに手を差し伸べたのでした。



◇ ◇ ◇ ◇



「――と、いうわけで。クロノスくんはこの世界にかけられた魔法の影響で、おかしくなっていたんです」


「しょ、しょーせーがミーシャ様をこーげきしただなんて……!! たいへんもうしわけないであります!! ごめんなさいであります!!」


「大丈夫ですよ、気にしてませんから。それよりも、この場所そのものの方がよほど問題です」


 そもそもここはどこなのか。そこからして、詳しいことはわかっていません。私の場合ここに来た時点でそれを考察するよりも、脱出を優先させましたから。


「そうでした。クロノスくん、なにか妙なもの持ってませんか?」


「妙なもの、でありますか? えーっと……あ、なんか持ってたであります!!」


 そう言ってクロノスくんが取り出したのは、ルナちゃんが持っていたものとそっくりの球でした。ただし、色は鮮やかなレモンイエローをしています。


「なんなんでしょうねぇ、この丸い物体。緑色と黄色の球だなんて、あと一つはいったい何色なんだって話です」


「あれッスよね、幼児用の積み木ってこんな色してるの多いッスよね」


「あー、言われてみると、プラスチックのあれ割と似てますね」


 でなければ、クリスマスツリーに飾る球がこんな感じにカラフルなのがありましたね。あ、でもあれは原色の方が多かったでしたっけ。


 にしても、こんなムダに鮮やかな球をどうしろって言うんでしょう。三つそろえたらここから出られるっぽいですが、最後の一つは何色なんでしょうね?


 ここまででわかったことと言えば、私と一緒にいた子たちを倒して持っている宝を集めなくてはいけない、ということのみ。仮説でよければここがどこだかもわかっているのですけど、というか他にないですけど、他に出られる方法ないんですかね?


「ここはやはり、ウィルちゃんを探さないとダメですね。最後の一つを持っているのは、ほぼ間違いなくあの子ですから。お二人は、場所に心当たりとかないですか?」


「もうしわけないでありますが、しょーせーはこのせかいのこと、なにもわからないであります……ぜんぜん覚えてないのでありますよ」


「ルナちゃんはどうですか?」


「うーん、うーん……適当に歩いてれば、勝手にウィーちゃんがあたしらのこと見つけてくれるんじゃないッスか? クロくんの時もそうでしたッスし」


 意外とまともな案が出ました。確かにそれもありっちゃありです。おそらくこの辺りをうろついていれば、そのうちウィルちゃんがやって来るでしょう。


 そう思い歩き出したのが間違いでした。


「な、何時間歩いても見つからないんですけどっ!?」


 数時間辺りをさまよいましたが、ウィルちゃんらしき影はどこにもありません。それどころか私たち以外に動く存在がいないので、なにかが動けば一目瞭然なのです。


 にもかかわらず見つからないということは、向こうに出て来る気はないということのような気がします。


「弱りましたね、このままだとここから出るのは不可能ですよ……」


「せ、センパイ、ほらあれッス! 瞬間移動を使うッス!!」


「できたらとっくにやってますよそれくらい」


 いの一番に思いつく策です。やってみましたが、うんともすんとも言わないんですよ。魔法は使えても、ここで瞬間移動は禁止のようですね。


「よし、ならあれッス。世界ごと叩き壊すッス!!」


「物騒なこと言わないでくださいよ!! ていうかそれだと、思いきりウィルちゃん巻き添えですからね!?」


 そんなことになれば、ウィルちゃんは髪の毛一本すら残らないでしょう。それぐらいの威力を出さないと、この世界――本の中と思しきこの場所を、破壊できないでしょうから。


「もっと穏便な案はないんですか?」


「もうあれッス、センパイがルール書き換えればどうにかなるッス」


「投げやりな回答ですね!?」


 そりゃ可能ですよ? 可能ですけど……それやったら、おしまいだと思うんですよ色々と。本当に、命の危機レベルのピンチであれば率先して使うでしょうが、そうでもないのに使いたくありません。なのでできれば、他の解決策がいいなぁと思うわけです。


「いっそ、呼んでみるというのはどうでありますか? うっかりへんじするかもであります」


「それは……ないとは思いますが、まあそれが一番簡単にできますしね。やってみましょうか」


 私は全力で息を吸うと、相当久しぶりの本気の大声でウィルちゃんの名前を呼んでみました。


「ウィールーちゃーん!!」


 返って来たのは静寂のみで、やはりこんな方法で見つかるわけが――


「もーいいですのー」


「ふへっ!?」


 今、どこからか返事が……!? しかも、言葉の内容から察するに、ウィルちゃんとの勝負はあれのようです。


「かくれんぼとは、また懐かしい遊びをチョイスしましたね!」


 そしてこんな広大な場所で、どうやって子供一人見つければいいんだって話ですよ!!



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