今あり、それにより得られるものは過去からの蓄積ではなく未来の先取りである・ホピの夏の祭り
古い年が終わり春が来てまた俺達はとうもろこしをまき始める。
「今年も無事に収穫できるといいな」
俺のそのつぶやきに俺といっしょに畑を耕していた者の一人が答えるように行った。
「大丈夫さ、俺達はタイオワとマサウに教わったことを忘れてはいない
カチナも俺たちの様子を見てきっと無事にとうもろこしに花をつけてくださるだろう」
「ああ、そうだな、きっと今年も大過なく過ごせるんだろう」
ホピいわく
”どんなことも7世代先まで考えて決めなければならない”
”大地は祖先たちからの贈り物ではない。未来の子孫たちからの預かりものだ”
つまり俺達には未来の子孫に対して責任があるということだ。
こういうことを忘れない限り、未来も安定していくのだろう。
逆に今さえよければという考えを捨てられないのであれば、いずれ未来というものはなくなるのだろう。
そして季節がめぐり夏至になるとホピは夏の3つの祭りを行う。
まずはじめは二マン・カチナ祭だ。
これは“カチナの里帰り”を意味する祭りで、冬至の祭り以来この地上に来てくれていた。
そして花などの芽吹きを助けてきてくれた。
そして無事に命が花開き最初の実りを迎えた今、彼らの仕事も終わりを告げる。
カチナたちは冬至まで本来住んでいるところへ帰るのだ。
そして二マン・カチナはカチナたちとの別れの儀式だ。
この儀式のもっと深い意味は冬のソヤル祭とポワム祭の時にタイオワとカチナに祈り発現した発芽、熱、湿気、風の力をカチナ達がいなくなってもあり続けるように祈り願うことも含まれている。
ホピにとってモミの木は雲と湿気を呼ぶ聖なる力を持っているので、カチナの姿をとる男全員がその枝を身につけ、モミの木への巡礼をおこなう。
そして第一の世界が滅び、第二の世界の滅び、第三の世界の滅びを示した動作を、タイオワへの讃歌を歌う。
そして午後になれば子どもたちに贈り物を手渡す。
その後、カチナは子どもたちに向かって、正しいことを知り、どう生きるかは、いまや自分にかかっていることを教える。
そしてカチナが村人たちに別れを告げるんだ。
その次に行われるのは笛祭り。
これは二人の少女を先頭にしながら村へと向かい、地面に引かれたコーンミールの線の上に規則的に小さな輪を放り投げ、村人たちが笛の音楽に合わせて歌い、それから静かに散っていくだけのものだが
この儀式には第4の世界に出現したあとのホピ達の苦しい旅の行程を示したものだ。
輪はその時使った葦のいかだをしめし、島から島へ何度も渡ったことを表わすものらしい。
最後が蛇とカモシカの儀式
これは蛇は肉体をカモシカは精神を表し、肉体と精神のバランスを正しく取って、カモシカは雲を呼び、蛇はそれによって雨を降らすと信じられている。
これによりカチナが去ったあとでも、台地を潤す雨は降ってくれるのだそうだ。




