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AM ‐ アンミとミーシー ‐  作者: きそくななつそ
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最終話⑬


『そうして、世界は静かに、その役目を終えていく。あなたが空を舞うことを望むなら、思うままに風を受けて浮かび上がることをこの世界は許してくれる。あなたに訪れる世界は、想い人に再び出会うことを当然として、温かな抱擁を認める。光は、美しく、あなたの瞳に注ぐ。あなたのための、あなたの世界が、そうしてつくられていく。渇きも飢えも、痛みも不自由もなく、眠ったままに、望むままに愛し愛され、抱きしめ抱かれ、紡いで紡がれ、生きたような、まるで世界が続いていくかのような、夢を見ながら、一つずつのささやかなる世界の灯は消えていく。それぞれにとって、何一つの嘘もなく、たとえ私の見る世界とまるで違うものであったとしても、私にとっては実在するものでなくとも、あなたが生きた、あなたの数十年を、誇らしく思って良い。とても、……都合の良い、物語だったけれど、あなたはけれど、幸せになれた。たとえ実在でなくとも、あなたは続いていくはずの世界に希望を残すのかも知れない。あなたがいなくなった世界など、ただ信じているだけで良い。願うだけで良い。泥に沈んだ骨もまた、同じように、夢を見たに違いないのだから。ええ、けれど、とても……、私は、寂しく思います。だからこうして、あなたの唇に、せっせと水を運びましょう。色々と、見えなくなってしまったけれど、あなたの香りをまだ覚えている内に、たった一秒でもあなたに温もりが残るように。たった一秒でもあなたの世界が続くように。きっと二度と目を覚まさないあなたに、ここに取り残された私は、……あなたに何も喜んでくれなどしないのでしょうけれど、せっせと唇に水を運んで、そして共に眠りましょう。布切れを被せてあげることもできます。虫が寄れば追い払いましょう。ねえ、どうか。健介……。あなたが、幸せでありますように。あなたが、幸せでありますように』


『Ich wünsche Ihnen mindestens solch warmes Glück, wie es die Naturgesetze, die der Welt zu Grunde liegen, bereithalten.』


『Die Zeit sei weit, tief und weich, wie ein sich sanft fließender, sich füllender und überschüttender Kreis.』


『Gib mir einen Stein, in den ich mein Herz einkerben kann.』


『Gib mir den Ort dafür.』


『Welt, sei mindestens vollkommen.』


(せめて世界の根源たる法則に、温かな幸福を願う) (時は穏やかに流れ満ち、円環として、広く深く、柔らかくあれ) (心を刻める石をおくれ) (その置き場をおくれ) (せめて……、世界よ、完全たれ)


最終話『全て語られた。』


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