番外編 最終話 ⑫(みんな、ただいま)
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あれっ? 体が……何? くらりと目眩がし、足元がもつれ、前のめりに倒れる寸前、ルーク様の腕に受け止められパパやママ、ルーク様に心配された。
(ヤバイ、倒れるかも……体が動かない……)
「ルナ!!」
悲鳴に近い声でルーク様に呼ばれたが、スオウとマロンの声を聞いたあと、私は神様と女神様の元へ行った。
『心配するな。ルナは神獣剣を使った反動で体力を吸われただけだ。
命に別状はない。体力が戻れば眠りから覚める。
だが、それがいつになるかはルナ次第だ』
『ルナはね、神様と女神様に会いに行ってる。
テオル、リビア、ルーク。スリチア国へ帰るよ。ルナなら早く帰りたいって言うはずだよ』
頭を撫でたあと、額にキスをしたママ。パパからは頬に軽くキスをくれた。
ルーク様は唇にソっとキスを落とした。唇だけに熱が注がれる感覚があったが眠りへと落ちた。
暗い空間を真っ直ぐ歩いた。左右に曲がることなく真っ直ぐ進んだ。
どれだけ進んだかは分からない、歩き続けているけど疲れることがないからだ。
「ルルナ、こっちだ!」
「こっちよ。ルルナ」
「僕の可愛いお姫様。こっちだよ」
懐かしい声がする。忘れたことなんてない。だって、この声は……。
「お父様、お母様、お兄様!!」
おもいっきり走り、愛しい家族にタックルする勢いでお父様に抱きついた。
「美しい女性に成長したな。若い頃のデイジーにそっくりだ!」
「さあ次は、わたくしの腕の中に来てちょうだい。
まぁ! 綺麗な淑女に成長して、わたくしは嬉しいわ!」
お母様は優しく背中をさすってくれた。その隣では小さな姿のお兄様が私を見上げていた。
「ルルナ、僕の可愛いお姫様。ギュッと抱きしめさせて」
私は膝をつき、涙を流しながらお兄様に抱きついた。
「お兄様! わたくし頑張って生きました。凄くツラかった。
でも、私のことを愛してくれるパパとママができたの。
ディオン殿下や従兄弟のジェイド様にもお会いしました。
お爺様はわたくしのことを『ルナたん』って呼ぶんですのよ」
それを聞いたお父様とお兄様は声を出して笑い。お母様には謝られた。なぜって、私を虐待していたのは、お母様のお兄様だから。
「はははは。父上とジェイは相変わらずだな」
「あははは。ディオとジェイ兄様にも会ったんだね。ルルナ、いや。
ルナ。さあ、起きる時間だよ」
お父様、お母様、お兄様は笑顔で私の背を押してくれた。
神様と女神様にもあることを聞かされた。
「早く起きないと向こうでは半年の時間が経っているぞ?」
「マロンが迎えに来ていますよ?」
振り向くとマロンが走り寄り、頭をスリスリしてきた。そんな姿をみたお父様達の姿は薄れつつあった。
「時間のようですね」
女神様はそう言い、私を見た。
「お父様、お母様、お兄様。私を愛してくれてありがとうございました。
わたくしは今は幸せです。婚約者もできました……あとは、あと……は……」
頭を優しく撫でてくれるお父様。優しく微笑んでくれるお母様とお兄様。
「ルルナが幸せだと聞いて安心したよ。婚約者のことは、1度ぶん殴りたかったが、それは今のパパに託すよ」
「ルルナの婚約者はレンルーク様でしょ?
2人の間にできる赤ちゃんが楽しみね……いつまでも幸せにね」
「僕もルルナの婚約者をぶん殴りたいけど、やめておくよ。ルルナに嫌われたくないからね。
幸せになってね。マロンのこと頼むね。
マロン、ルルナのことをお願いね」
パッと小さな体になってお兄様に飛びつくマロン。お兄様はそんなマロンを優しく撫でていた。
「うん。ライアンの分までルルナを守るよ!」
微笑んだ3人は淡い光とともに消えた。
「神様、女神様。家族と話をさせていただきありがとうございました。
マロンと帰ります」
手を振って見送ってくれた。
ふと目を覚ますと、周りは明るい? 朝かお昼頃だろう。
何とか体を起こすことが出来たが、これ歩けるのかな? 身体中が鉛のように痛い。そっと足を床に下ろし立ち上がった……が!
ドタンッッと、人が倒れる音が響き。複数人の足音が近付いてくる。そして、ドアが開くと。
「ルナァァァァァァァァァ!!」
「ルナ!!」
パパとルーク様は同時に近付き、私を起こしてくれたが、パパとルーク様の目から火花がバチバチと飛んでいた。
「「「「「「ルナ!!」」」」」」
「「ルナたん!」」
「「「「ルナ!」」」」
皆から名前を呼ばれる度に、私って幸せだなとおもった。
身体が鉛のように痛いのは、半年も寝たきり状態だったからだと聞かされたが、毎日少しずつ動かすせば自然と普通に戻るようだ。
そして、ルドルフ殿下とブリアン。その両名の家族はスリチアの臭くてジメジメした牢へと入れられていると聞いた。
楽になりたいから殺してくれとダメンズ男爵夫妻は申し出たが、即却下だった。私にした仕打ちとエメルロ侯爵の命を奪った罪、国民に対して行った罪。かなり大きな罪となり、本来なら公開処刑だが、それだと一瞬の痛みで終わる。
みんながどれだけ苦しみ命を奪われたか数しれない。よって、不本意だが1日1回の食事付きで死ぬまで臭くてジメジメした牢にぶち込まれることになったようだ。
あの3人組も一緒にね。
少し歩けるようになり、私はみんなが揃った広場でずっと言いたかった言葉を大きな声で伝えた。
「みんな、魔王との戦いで応援してくれてありがとう。
そして……みんな、ただいま!!」
私の帰る場所に「ただいま」が言えた喜びに笑がこぼれた。
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