番外編 ⑩ (インエルバー国) 15歳
誤字・脱字がありました際は、申し訳ございません。
私達はマルクロット国から南東に下り【インエルバー国】へとやってきた。
ここインエルバー国では、魔石で作られる生活品や魔石を設置するだけで使える物や道具が豊かな国だ。
魔力を持たない方々にも使える生活品や火を使ったり、水を出したりできるように作られている。
付与魔法なら私にも出来るけど、いざとなった時だけ助ける方が良いよね。その前に、宿屋をさがさなきゃ。
ここには宿屋が3件もある。どうしたものか、ここはママに決めてもらおう。
ママを推薦したのには理由があるの、ママが選ぶ宿屋は全て良品質で食事も絶品。それにね、宿代が安いの! ここ大事!!
「今日もママに選んでほしい!」
ママは胸の前で両手を合わせて微笑み。
「まあ! 今回も私が選んで良いの?
じゃぁね、あの奥の宿屋がいいわ!」
指名された宿屋の扉を開けるとチリリンッと綺麗な鈴の音がし、若いお兄さんが「いらっしゃい」と声をかけてくれた。
「何名様ですか?」
と、私に聞いてくるお兄さんにイラッとしたのか。ルーク様とパパが私の前に出て、仁王立ちをした。
「えっと、ご家族様ですか?
4名様で合っていますか?」
「あぁ、4名だ!
それとだ、あの子にだけは声をかけんでもらえると助かる。コイツの大切な婚約者だからな」
宿屋のお兄さんはガックリと肩を落として俯いたが、ニッコリと笑い「分かりました」と一言。
部屋へと案内の時もだけど、ルーク様はずっと手を握っていた。なんだか顔がニヤけちゃいそう。だってね、ルーク様とパパの行動が嬉しかったし、パパの言葉がとても嬉しかったから心が暖かくなったよ。
(パパ、ルーク様ありがとう)
「今日は少し疲れちゃったかも、少しだけ横になっても良いかな?」
荷物を置く手を止めたパパとママとルーク様は私を見たが、ママに「ゆっくり休みなさい」と一言のあと、スオウが擦り寄って来た。
『ルナよ。膨大な魔力をどこで使った?
魔力が無限にあるとはいえ、虚弱体質のルルナの身体だ。相当な負担になっているのだろう。
デウルサン王との戦いに備えて休んでおけ』
そうだよね、ルルナの身体は虚弱体質だったのだからゆっくりと慣らしてあげなきゃだよ。でも、心臓が弱いのは治ったけど虚弱体質は……私がその虚弱体質を克服してみせる!
『ルナ、女神様が言ってたけど、その虚弱体質はルナが成人する16歳には治るみたいだよ』
ママが私の隣に座り、頭を撫でて『愛しい我が子』を歌ってくれたこともあり、そのまま眠りに落ちた。
眠りから覚めると身体が軽くなっていた。
(あと数ヶ月で、成人する16歳だ。それまでは大人しくしとこ。次の国での戦いに備えとかなきゃだわ)
そう考えていると、部屋の隅で内緒話をしていた。それも小声で!
だからね、寝たフリをして聞こうと思い、耳をすませた。すると……!
「ルークは2度目の人生なんだよな?
今の状況で変わったことはあるか?」
「そうですね、俺がサイチの街まで逃げ延び、お義父さんに助けられ歴史が大きく変わりました。
俺が再度殺められていれば、スリチア国とクロートフ国が戦争になり、多くの犠牲者が出ていました。その戦争を止められたのはジェイドス王弟殿下が無事に生きて帰国したことも大きいが、1番大きいのはルナの存在ですね。
ルナがこの世界へ転生し、神獣様と女神の眷属様と出会ってくれたからこそ、この世界は救われたのです。
スオウ、マロン、ルナ、ルルナには何度感謝しても足りないくらいです」
「オレもそう思っているよ。
ルナには誰よりも幸せになってもらいたい!
その役目をルークに託すからな!
ルナとルルナを泣かせたら許さねぇからな!!」
「はいっ!!
ルナとルルナを悲しませ泣かせないとお約束します。そして、誰よりも幸せにすると騎士の名において誓います!!」
やだっ……そんなこと言われたら泣いちゃうじゃんか!
「……っ……」
枕にポロポロと涙が流れ落ちて、じんわりと濡らしていく。その涙を拭いてくれたのはルーク様だった。
「ルナが起きているのは分かってたよ。
約束すると言った矢先に泣かせてごめん。さっきも言ったけどルナとルルナを誰よりも幸せにすると、スオウとマロン、お義父さんとお義母さんに誓うよ!」
バッ! と、ルーク様の胸に抱きつき、何度も何度も頷いて「ありがとう」と感謝を込めて伝えた。
「ルナ、良かったわね」
パパに肩を抱かれているママ。安堵した顔をしていた。
翌日、私達は家族で色んな場所へ巡り楽しんだ。今は笑って過ごそう……そうじゃないと、次に行く国ではスオウとマロンと共に……制裁を下さないとならないから……。
パパとママ、ルーク様も戦いに参戦するだろうと予想ができる。だが、ルーク様達が負傷した場合は空間ボックスへ入っててもらう。
神獣剣で私が強敵である、デウルサン王を倒さないといけないから……。
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