番外編 ③(ノーストリ国)
私達はエクリプス国を出て【ノーストリ国】へ来たのだけど。ここでは争いが起き、住める場所がなくなるほど建物は全て崩れていた。崩れていないのは貴族の御屋敷と王城だけだった。
騎士や兵士が街中を徘徊しているのを空中で見ていると。
「#結界__バリア__#!」
間一髪。大砲や弓を構え、こちらへと撃ってきた。
『ワレラを攻撃するとは……万死に値する!!
この国は自然に返す予定だったが、すぐにでも滅ぼしてやる!
マロン、この国にある小さな泉へ行くぞ』
『あぁ、あの泉か。そこなら安全だし避難している人達がいるはずだよ』
「その小さな泉には何かあるの?」
『あの泉は秘密の通路があってな、スリチア国へつながっている。
ルナ、泉に着いたらスリチア王に手紙を書いてほしい。
避難民の保護の嘆願書をな……書けるよな?』
俯く私に、ルーク様がバックハグをし、耳元で話してくれた。けど、耳にルーク様の唇が触れるから恥ずかしい。
「大丈夫。嘆願書は簡単だから泉に着いたら教えてあげるよ。
お礼はルナからのキスを……」
「コォォラァァァ!!
キス以外はダメだとあれほど……グフッ……!!」
ルーク様の言葉に真っ先に反応するのはパパなのよ。もうね、片手を振り上げてワーワー騒ぐから、ママに肘鉄をくらって大人しくなってたよ。
「パ、パパ、大丈夫?」
パパはこちらを向きニコニコ顔だけど声が出せないようだ。ママは最強なんだなと一つ勉強になったよ。
「ルナ、パパは大丈夫だから安心して。
ルナとルークは気にしなくていいわよ?」
私とルーク様はコクリとうなずいた。
(何か光ってる?)
「光の壁のようなのがあるけどぶつからない?」
ルーク様、パパ、ママは光の壁が見えないのか、首を傾げていた。
なぜ私だけが見えるのかをスオウが教えてくれた。
『光の壁はワレの主にしか見えんよ。
ここはな、善良な者だけが来れる場所なんだ。
今夜はここで寝るとしよう』
『この光の壁の中なら魔物や悪意を持った人間は入って来られないようになってるんだよ?
そろそろボクも降りるよ』
私だけが見えるんだ。でもでも、光の壁にぶつかる「っっ!!」目を瞑り、とっさに手で頭を抱えたが衝撃が来ない?
「大丈夫だよ」
その言葉で心が温かくなった気がした。チートでお風呂付きの2LDKの小さくてメルヘンな家を出し、みんなと中へ入った。
「広くていい部屋じゃない。
まぁ、お風呂まであるわ!
部屋も2部屋だし、甘い夜になるといいわよね」
パパったらデレデレした顔しちゃって、今日はサイレントを唱えて寝ないとだわ。
「ル、ルナとルークがいるんだぞ……じゃねぇ!
ルークは俺と寝ろ……」
「俺はルナと寝ます!!」
パチパチパチ! と隣でママが拍手をし「それでこそ男よ!」とほめているけど、パパだけは違ったようだ。
「ダメだ、駄目だ!」
「あら、テオルは私と寝たくないってことなのね!」
「えっ? いや、ち、違う!
俺はリビアと寝たい!!」
「だったら静かにしてなさい!」
「はい」
私とルーク様だけに見えるようにピースサイン! 私はお返しに親指を立てサムズアップの仕草をした。
このピースサインとサムズアップは旅をしている最中に教えたものだ。
ルーク様とパパに嘆願書の書き方を教えてもらい「書けたぁ!」大切な嘆願書をアイテムボックスにしまい。
今日はサイレントを唱え、ルーク様とおやすみのキスをして、スオウとマロンとも一緒に仲良く眠った。
パパとママはラブラブな夜を迎えたんだろう。翌朝、パパとママの笑顔が眩しすぎだったから。
泉の場所へと足を踏み入れると、避難民がいた。ざっと20人ほどはいた。
「お姉ちゃん、お腹空いた」
アイテムボックスから大きな机を出し、その上に果物・雑炊。プリンも出そう!
「皆さんの分もありますので順番にお配りしますね」
そう言って、ママとパパ、ルーク様と私は皆に配ったあと、私達も美味しく食べ。
みんなが食べ終わったのを確認したパパは、大きな声で皆に聞こえるようにスリチア国への避難を提案した。
「ここからスリチア国へ避難が出来る。スリチアの国王様への嘆願書もここにある。これを見せれば保護してもらえるが、行く者はこっちへ来てくれ!」
すると、全員パパの方へと歩んでいた。
「これを!
この手紙を王様に渡してもらえれば保護してくれます。
ここが入口です」
何も無い所に手を置き、ガチャりと回した。すると、フワリと明るい通路が見えた。
「さあ、行ってください!
振り向かないでくださいね。その通路は魔法で出来ていますので1メートルほど進むとスリチア国へ着きます。
もう一度言います。
振り返らず進むのですよ?」
一人一人に微笑み、全員行ったのを確認した私は見えない光るドアを閉めた。このドアも神獣の主にしか見えないように出来ている。
『ルナ、ここは安全だが長居はオススメしない』
『次の国へ移動しよう!』
うなずいた私はルーク様に支えられながらマロンに乗り。パパはママをお姫様抱っこをしてスオウに飛び乗った。
「カッコイイ!!
パパ、凄くカッコイイよ!」
パパってば照れちゃって、真っ赤な顔で「ありがとう」と小声で呟いていた。
『よしっ! ワレの結界で攻撃は弾かれるからな、少し国を見て回ってから移動するからな。
ルナ、覚悟はいいか? ここからは惨い光景だらけだ。だが、見ることも神獣の主の勤めだ!!』
「はいっ!!」
『ルナ達は見てるだけでいいからね。
ここを自然に返すのはスオウとボクの役目だから!』
「うん、分かった!」
ルーク様は後ろからギュッと支えてくれた。きっと大丈夫。
そこは瓦礫や崩れた家、その下敷きになった人々。逃げ惑う人達を弓で射る兵士。盗賊と騎士が戦い、槍や剣で体を貫いた騎士。そこは言葉に出来ないくらい酷い光景だった。
恐ろしい顔をした騎士が兵士に何かを命令したあと。
ヒュッ!! と、弓の矢を射られたが当たることはなかった。スオウの結界があるからだ。
『マロン、もういいだろう。
次へ行くとする』
『そうだね。
ルナ、もうここから離れるから安心してね』
「うん……」
顔色が悪いまま次の国へと移動した。
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