38 ブリアン・ダメンズ男爵 ③ 視点 (ダメンズ男爵一家と王族の末路)
今日もお茶会を開催してもらわなくちゃ。
お父様に……なんだろう。何を騒いでるのかしら?
長い廊下を歩き、階段の途中にある広いスペースの踊り場で1階を覗き見ると、お父様とお母様が縄で縛られてる?
えっ? 何がどうなってるの?
(バチッ)と獣人の騎士と目が合っちゃった。やだっ! 何で走ってこっちへ来るのよ!
「や、やだっ!
私は悪いことしてない! 来るなっ!
はあっ、はあっ、はあっ……クソ獣っ!!」
何で息が乱れないのよ! こいつら、きっとルルナの指図だ!
絶対にそうよ!!
あの女、絶対に許さない!!
「死なない程度に捕まえるようにとの事なので、武器の使用を許可する! 必ずその新種のメスオークを捕まえろっ!!」
「「はっ!!」」
死なない程度って何よ!
ヒュッ! っと何かが足へ飛んで来た。
「ぎゃあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っっ!!」
ち、血が……剣が足に!
足を刺した騎士は顔色一つ変えず、一気に剣を引き抜いた。
ピピッ! と血がブリアンの顔に飛び散り、痛みにもがいた。
乱暴に荷物を持つようにしてブリアンを持ち、両親であるアドルフとライザの元へ転がした。
「い"だい"、もう止めて!」
お父様とお母様は見てるだけ?
「お父様、お母様、だずげで!!」
ガタガタと震えるお父様とお母様は、やっと口を開いた。
「む、娘になんて事をするんだっ!!
早く治癒を……」
「何してるのよっ!
うちの子はローバル国のルドルフ殿下と婚約してるのよ!
傷ものに……」
遠くから弓が飛び、お父様の肩に刺さり。もう一本はお母様の太ももへ刺さった。
「あ"ぎゃあ"ああああああああぁぁぁ!!」
「ひぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!」
嫌だ、私はお姫様になるのよ!
何でこうなったの!?
「王宮へ連れて行け!
連れて行ったらそのまま放置で構わない!」
王宮? 良かった、それならルドルフ殿下に助けてもらえるわ!
王宮へ着くと、傷は何とか回復はしたが、完治ではなかった。
ここでは治癒出来る者が数名しかいないからだ。
その治癒師は魔物討伐で王宮にはいなく、粗悪品のポーションに頼るほかなかった。味はゲロ不味く、完全回復しない。だが、出血だけは止められた。
「ルドルフ殿下、どうして王様は指示をしてくれないのですか?」
ルドルフ殿下は俯き唇を噛んでいた。
「父上と母上は王宮の安全な場所に避難した。
俺は……ブリアンを待っていた。早く行こう!」
ぱあぁぁぁ。と顔をほころばせ、ルドルフ殿下の手を握り言葉を口にした。
「私のお父様とお母様も一緒……」
「4人までしか入れないっ!
だから君の親は諦めてくれっ!!」
「そんな、そんなぁ! あんまりです!!
嫌よ! 私は両親を見捨てたくない!!」
ルドルフ殿下は仕方がないという顔をし「チッ」と舌打ちをした。ブリアンの両親を連れて第2避難所へ誘導し、私達もそこへ一緒に入った。
ローバルの王は自分達の命を優先にし、市民や騎士達を犠牲にした。
食料は十分にあるが、助かるのは何人になるだろう?
ローバル国はスオウの加護と結界がなくなり滅びが訪れてしまったのだ。
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