ブリアン・ダメンズ男爵 ② 視点
憎きルルナ。クソ鳥とバケモノに体を貫かれた時の痛みがまだ残っている。
私が神獣の主でいいはずなのに、あのオゾマシイ姿。あれが神獣なんてありえない! あの化け物はルルナが契約したどこぞのバケモノ従魔なんだわ。
あんなのが神獣と眷属ではないわ!
思い出しただけで鳥肌が立つわ。温かい湯で湯浴みして心を癒そうかしら。
チリン、チリン!!
「失礼いたします。お呼びでしょうか?」
鼻息を荒くしてメイドをギロッと睨みつけ可愛くもない声で唾が飛び散るくらい大きな口を開けて怒鳴った。
「用があるから呼んだのよっ!
早く湯浴みの前にお茶を準備をしてっ!!
……あぁぁ、もうぅぅ! イライラする!!
このグズ!! さっさと用意しろ!!」
なんなのこのメイドは! グズルルナと同じじゃない!
(憂さ晴らしにはいいかも)
数分後。
扉がノックされ、ワゴンにお茶セットが運ばれて来た。
「お待たせ致しました」
「おそいっ!!
オマエもグズよね!
早くお茶を入れなさいよ!!」
「申し訳ございません。
はい、ただいま」
なに、この女。私が蹴りを入れると折れてしまいそうな細い体。ルルナはこれより細かったわ。
「お待たせ致しました」
カップを持ち一口飲み、それをメイドの顔に向けて投げつけた。
「まっず!
何よコレ! 私が子供だと思ってバカにしてるの?
早く片付けなさいっ!!」
「くっっ! も……申し訳ございません」
顔が赤くなってるけど、私は悪くないわ!
憂さ晴らしが出来たしスッキリしたわ。そういえば今日はルドルフ殿下と会う日だったわ。
早く準備しなくちゃ。ドレスが直ぐに合わなくなるのよね。特にルルナのドレス!
「早く湯浴みしなくちゃ!」
この後、メイドが3人も辞めてしまったことを知らないブリアン。ダメンズ男爵家は没落寸前まで窮地に陥っていた。
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