37 神様と女神様との約束
ノワール公爵様と明日のお出かけを約束し、帰宅した。
──翌日──
「こんにちは。ルナ嬢はいらっしゃいますか?」
小走りでギルドの入口に行ったんだけど、パパに先回りされたのか、ノワール公爵様の前に腕を組んで立ち。威圧をかけている。が、ノワール公爵様も負け劣らずパパに威圧をお返ししていた。
「ママ、今日は楽しみにしていたお出かけなのに……(チラッ)パパが……。
ノワール公爵様に会えて嬉しい。でも……私には時間がないのに……」
「時間? それはどういう意味?」
「……うぅん、意味はないよ(ニコニコ)」
眉をハの字にし、フルフルと顔を横に振ったママ。
「まあ、いいわ。
ここは私に任せて!
テオル! ルナの邪魔ばかりして、こっちへいらっしゃい!!」
ママは私にウィンクし、パパに向き直りキッと目つきを変えたママはパパの耳をギュッと摘み、部屋へと連行された。
うわぁ、痛そうだけど大丈夫かなぁ。
「いてててててっ!!
リビア、耳が! 耳がちぎれるから!」
ライラがスっと扉を閉め、ドリアンに頭を撫でられたあと、ローランに笑顔で送り出してもらい。
「もう大丈夫よ」
「ルナ、今のうちよ。
楽しんできてね」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます!」
今日はスオウの背にノワール様が乗り、私はマロンの背に乗った。神様と女神様との約束の話をしなくちゃ。
「ノワール様、大切なお話があります。
この世界に来る前に神様と女神様と、ある約束をしました。その約束は、この世界の国を見て周り。どの国に結界を張って、どの国を自然に返す(滅ぼす)かを神獣のスオウと女神の眷属であるマロンとで決めることです。各国を回ってる中には野心家の王や王族、横暴な貴族が民達を酷使しているとも聞いています。ですが、私にはスオウとマロンがいますので危険はないかと……」
と、言いかけた時だった。ノワール様は眉をひそめ私を見る目が変わり、初めて怒鳴られた。
「危険に決まってるだろっっ!!
昨日の返事は、このことがあったからなんだよな?
俺も着いて行くから!!
スオウ様、マロン様、俺も着いて行くことを許してくれませんか?
お願いいたします!!」
『本来なら主1人なのだが、主は未成年だ。ルークを はルナの番。付き添いとして許可する!』
『いいよ。ルークはルナの大切な人だから許可するよ!』
「ありがとうございます!
スオウ様、申し訳ないのですがギルドへ引き返してほしいのです。この話はみんながいる前でするべき話です。俺とルナ嬢とでする話ではない!!」
『うむ、分かった』
「あ、あの、ノワール様……」
(ノワール様を怒らせてしまった。
私どうしたらいいの?)
泣きそうになった時だった。隣から優しい声が聞こえ、ノワール様を見ると、悲しそうな顔で「怒鳴ってごめん」と言われ、フルフルと顔を横に振った。
「あら、もう戻ってきたの?」
ノワール様は真剣な眼差しで「お話があります」と「エメルロ侯爵家の皆様を呼んでいただいても?」と聞かれたママはただ事ではないと予想し、エメルロ侯爵に連絡したものの、この話は王宮でした方がいいということになった。
皆が集まり、王宮の広間でノワール様に話したことと同じことを話した。すると、みんな沈黙している。
「ルナ……」
パパは今にも泣きそうな顔でこちらを見ていたが、スオウに向きを変え言葉を続けた。
「スオウ、マロン。この各国を回るのはルナだけなのか?
そこが知りたい!」
みんなゴクリと固唾を飲み込み。スオウの言葉を待った。
『ルナは神獣の主。これが主の使命だ!
神獣の主はこの使命を果たし世界を救う。それが【神獣の主】なのだ!
酷な話だとお前達は考えているだろうが、神獣の主は毎回使命を果たして来た。
が、今回だけは違う。デウルサン国の国王陛下は人間からモンスターまでの血肉を食い災害級の魔物、魔王と化している。ワレは前回、主を亡くし力を発揮することが出来ず、深手を負った。アイツに勝てるのは神獣剣を持つルナだけだ!
ルークはルナの番だ。番の同行は許可する!!
ティボーよ。神獣剣を持ってるな?
それをルナに持たせてほしい』
『テオルと皆、ルナはスオウとボク。そして、ルークで守る。
見て回るのは空の上からだけど、地上にも降りないといけない。
危険はないとは言えない。むしろ危険だ!! だが、これが神獣の主の本当の使命!!
どこかの国で魔王と化した者を神獣剣で貫いてきた。このことは神獣の古記には記されていないだろう。追記しておけ』
スオウとマロンの強い口調に、みんなは驚き戸惑った。今までは普通に接していたからだ。
だが、娘を想う母が始めに口を開いた。
「危険な旅なのは承知でお聞きします。ノワール公爵様の他に誰か大人がついて行くことは出来ないのですか?」
ママ……私を心配してくれているんだ。嬉しい。でも、使命だから……チラっとスオウを見た。
「神獣様、世界の調和を救うのは神獣の主……と、伝承に記載がされていません!」
『記載がないではなく、ローバル国からの密偵者と隠密者が奪った。何代か前のエメルロ侯爵家の長の失態だった。だが、その秘密の会話を聞いたルルナの父が何年もかけ、必死になって取り返し、ルナが持っているアイテムボックスに入れ、翌日に隣国へ渡ろうとしていた。
だが、あの夜にルルナの父・母・兄の命を奪ったのは……ルナに何年も虐待を繰り返してたダメンズ男爵だ!
ルナ、神獣の主の古記をエメルロ侯爵の長に渡し読んでもらえ』
私はうなずき、アイテムボックスから古い古記を震える手でおじい様に手渡した。
「あの人達が私の家族を……許さない!
絶対に許さないっっ!!」
『ルナ、落ち着け。あのモノ達は制裁を受ける。
その制裁は止む事のない繰り返される地獄へ送るつもりだ。その時はルークとルナも見ておくんだ、これも神獣の主としての使命だ』
「「はいっ!!」」
おじい様は古記を読み終えたのか、スオウに質問をした。
「この記載には未成年の主には大人の付き添いを可能と書かれています。ルナは未成年、誰かを行かせていいのですね?」
スオウは大きくうなずき答えた。
『あぁ、そうだ。多くて3人までが限度だ。大人数での移動は危険だから、よく考えて決めろ!
1人は……ルークと決まっておる。ルナの番だからな。
あとのことはワレからは何も言うまい。ルナ、ワレとマロンは神と女神に会ってくる、リビアの胸の中で疲れを癒し、ゆっくり眠るがいい』
手を差し伸べてきたママの胸の中に飛び込み、背中をトントンしてもらっていたら睡魔に襲われ。そのまま眠ってしまった。
私がぐっすりと寝ている間に各国を回るメンバーが決まったようだ。
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