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30 エメルロ侯爵家一族の長に会う

ギルドの中を案内してもらい、その度に「凄い」や「綺麗」の言葉しか出来なかった。まぁ、数日前に完成したばかりなのだから当たり前なんだけど、とにかく広い!


ギルマスの部屋なんて、どこかの社長部屋なのかって思うほどの広さ。


ドルバルやレイブンが使う部屋も前より広いし、私の部屋をママが「プリンセスの部屋にする」と言いだして、止めるのに必死だった。


ママはパパと同部屋で寝るらしい。ラブラブだよね。ってか、何年も会ってなかったんだから新婚さんみたいな感覚になるんだろうなぁ。邪魔はしないよ、私は私で騎士団に見学に行くから。


「出る準備は出来たのか?」


レイブンとドルバルは、私の保護者兼護衛としてエメルロ侯爵家一族の長の所へ一緒に行くことになっている。ママも一緒にって誘ったのだが、このあと予定があるとの事だったので残念。


「うん、準備出来たよ」


「そんじゃ、行くか?」


大きくうなずくが、かなり緊張してる。


一族の長と聞いたら怖い人のイメージがあるし、侯爵家令嬢としての振る舞いがなってないと指摘されて嫌われたらと思うと、胃が痛くなるよ。


『大丈夫だからな。アイツらも、いいヤツらだと王から聞いている。


普通に話せばいい』


『ピュルゥ、ピピュゥ』


「スオウ、マロン、ありがとう」


スオウとマロンのお陰で元気出た。




「ルルナ、行ってらっしゃい。


危ないことや知らない人について行かないこと!


ドルバル、レイブン、きちんと護衛しなさいよ? 大切な私達の愛娘なんですからね!」


顔は笑ってるけど目が笑ってない!


「分かってるから、その目はやめてくれ!」


「このスチリア国ではおかしな奴はいねぇと思うが、俺達が必ず守るから安心してくれ!」


ようやく目元が緩やかになり、私達に手を振り見送ってくれた。





スオウが飛ぶとあっという間に着くのよね。


うわぁぁぁ、大きな御屋敷!


「ようこそおいでくださいました。


私はエメルロ侯爵家の執事をしておりますパスカルと申します。


以後お見知りおきを」


雰囲気も優しげなダンディーな執事さんだ。


「お初にお目にかかります。


わたくしはルルナ・エメルロと申します。


こちらはローバル国から一緒に来ていただいた、保護者兼護衛のドルバルとレイブンでございます。


そして、わたくしの神獣【スオウ】と女神様の眷属【マロン】にございます」


「おぉ、神獣様……眷属様、お会いできて光栄でございます。


旦那様がお待ちになっておりますのでご案内いたします。


こちらへどうぞ」


私達は「はい」と一言口にし、中へと入ったが、ここでも驚愕(きょうがく)した。


そこはまるで【日本】の金持ちの玄関のようだったからだ。


クマの彫り物、桜の絵画、甲冑(かっちゅう)(かぶと)が飾ってあったからだ。


「これ……本物?」


「それはレプリカらしいぞ?


待ちきれずに来てしまった」


淡い桜色の髪に瞳は宝石のペリドットのような淡い緑色。私と同じ髪色に瞳の色だ。


この方がおじい様?


スカートの(すそ)を摘み、(ひざ)を屈めた。


「ご挨拶が遅れ申し訳ありません。


改めまして。わたくしは、ルルナ・エメルロと申します。


後ろに控えているのは、わたくしの保護者兼護衛のドルバルとレイブンでございます。


こちらが、わたくしの神獣【スオウ】と女神様の眷属【マロン】でございます」


おじい様は手を震わせ。口は開いているが声が出ないようだ。何度も何度も大きくうなずき「お会いできた」と小さな声で呟いた。


『エメルロ侯爵の長よ。


お主大丈夫か?』


大丈夫か? なんて失礼なこと言って、おじい様はスオウにお会い出来た喜びと感動で声に出来ないだけなのよ。


「エメルロ侯爵様は、スオウとマロンに会えた喜びに感動しているのよ」


『そうだったのか。


エメルロ侯爵の長よ、ワレのことは【スオウ】と呼び捨てで良い。


マロンも呼び捨てでよいと言っておるぞ』


『ピュルルゥ!』


「皆様の前でとんだ醜態(しゅうたい)(さら)してしまい申し訳ありません。


改めまして。私はエメルロ侯爵家一族の長、クリストフ・エメルロです」


おじい様は目線をドルバルとレイブンに向けると、2人は礼儀正しく挨拶をしていた。


「お初にお目にかかります。


俺はドルバルと申します。


本日はルルナの保護者兼護衛で参りました。


よろしくお願いいたします」


ドルバルにしてはいい挨拶じゃん!


「お初にお目にかかります。


俺はレイブンと申す者です。


自分もルルナの保護者兼護衛で参った次第であります!


何卒よろしくお願いいたします!」


レイブンってば緊張しまくりだ「申す者です」って、ぷぷっ笑えるけど私の緊張がほぐれた。レイブン、ありがとう。


おじい様は私に向き直り。


「息子家族が亡くなったことは悲しい事だが、ルルナが生きていてくれてワシは嬉しいぞ。


ルルナとルナにとっては辛い毎日であっただろうに……頑張って生きていてくれてありがとう!!」


そう感謝され、ギュッと抱きしめてくれた。


『ルナ、良かったな』


「うん。わたくしの方こそありがとうございます」


『ルナ、次はルルナの父の兄、アルバン・エメルロの所へ行くからな』


そんなことを話していると、おじい様が何か言いたげで、こちらを見ていた。


チラッと見ては口を開けたり閉じたりと、どうしたんだろ? 気になった私は聞いてみることにした。


「あの、気になることがあるように存じますが。どうされたのですか?」


と、当たり障りない言葉で聞いた。


「そのじゃな、ワシのことを……【()()()()】と呼んでほしいのじゃ。


駄目であろうか?」


フルフルと顔を横に振り、ニッコリ笑顔で。


「おじいちゃま!」と、また噛んでしまった!!


『おじいちゃま』と言葉を聞いたエメルロ侯爵の長は、私の満面な笑みで胸を打ちぬかれたようだ。


『ズッッッキュゥゥゥゥゥン!!』


と音がなり、萌え萌えになってしまったおじい様。そのおじい様が発した言葉が。


「ルルナたん、ルナたん……可愛いのう!」


こんなふうに、甘々なおじい様へと変わってしまったようだ。


数多の中から読んでいただきありがとうございます。


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