24 簡単な依頼と刺客
翌日のお昼から子供でも出来る簡単な依頼をギルマスや皆と選ぶことになっているが、私は待ちきれなくて依頼掲示板の前でスオウとマロンとで眺めていた。
だいたいが魔物討伐ばかり、簡単なのは『おつかい依頼』や『部屋のお掃除の依頼』『ギルド内の掃除の依頼』『料理配りを手伝って依頼』『俺とお話してほしい依頼』などなど……。
(これって絶対にギルド内のみんなからの依頼じゃん!
特に『俺とお話して依頼』なんか前までなかったのに!
ここはみんなが起きて来る前にライラの所へ持って行って受理してもらうのよ!)
「うーーん。あっ!
これがいい!!」
依頼書をバッと持ち、ライラの元へ直行! そして、パシンッ!! と依頼書を受け付けに置いた。
「ライラ、この依頼受けたいから早く受理して!!」
「ルルナ、おはよう。今日も早起きなのね。
みんなが来なきゃ受理が出来ないのよ?」
ライラの眉がハの字になってる。きっと私の表情が顔に出てるからだろう。
私は……。勝手な行動をすれば誰かに迷惑がかかる。それは分かってる。
「………………」
うぅん、分かってないよ。誰かが起きて来るのを待とう。それまではライラにこの依頼の話を聞こう。
「自分勝手な行動をしてごめんなさい。
ライラ、この依頼の話だけでも聞いていいかな?」
微笑んだライラの表情を見て、私もつられて笑顔になった。
「下の方の依頼は……ギルマスたちからの依頼だってことが直ぐに分かったよ。
あのね、この依頼なんだけど。
野菜とお肉の買い物。これは酒場の食堂からの依頼でしょ?
これにする」
「あら、これは……あ…誰もやりたがらない依頼じゃないの。
ルルナ、実はね……このお肉を売っている方が少ぅぅぅぅぅし気難しくて、うちの野郎共は毎回ケンカになってしまうの。
やめたほうが……」
気難しいって、話してみないとその人の本質が分からないんじゃないかな?
目に見える本質ではなくて、その人の内側にあるものがその人の本当の本質なんだよ。
「大丈夫だよ。
みんな短気だから喧嘩になっちゃうんだよ。お肉屋さんと話をしないで「おい、オヤジ! この肉をくれ!」って感じで話したんじゃない?
普通は依頼の話をして、これに載ってる野菜と組み合わせがいいお肉の話をしながら、決めるものだと……思うんだけど」
間違ってたら恥ずかしいな。
「ルルナの言う通りよ。うちの野郎共は喧嘩腰に話すから駄目なのよ。
あら、レイブンが起きたみたいね」
パッと振り向き、レイブンの元へ急いで小走りして満面の笑みで挨拶した。
「レイブン、おはよう!
あのね、依頼の件なんだけど、この依頼がしたい!」
「おう。ルルナ、おはよう!
うえぇぇぇぇぇ、よりにもよってあの頑固オヤジかよぉぉぉ……これは、辞めねぇか?」
「やめない!!
誰かがやらなきゃ依頼主が困るでしょ?」
腰に手を置き、頬をふくらませてプイっと横を向いた。
アワアワするレイブンにライラとドルバルが笑っていた。
「まあまあ。魔物の討伐ではないんだ、いいじゃねぇか?
スオウとマロンもそう思うよな?」
『ピュピュウ!』
『主はワレの背に乗っておけばいい。
危険を察知したら、ワレが空に舞いあがるから安全だ』
それは便利だし、超安全じゃん!
「それなら安全だ!
みんな、おはよう」
パパが安全と言うなら、みんな文句は言わないと思うけど。きっと誰かがついて来るんだろうな。
例えば隠れながらついて来るんだろうなぁ。忍者のように!
「ライラ、その依頼の手続きを頼む」
「分かったわ。
…………はい、この依頼は何度も失敗しているわ。ルルナは……そぅね、大丈夫だと信じているわ!」
「はい! 行ってきます!!」
やっぱりね。こうなるって分かってたよ。
でもさぁ、探偵のように隠れて見なくてもいいのに。
みんな過保護すぎでしょ!!
お野菜は買ったし、あとはお肉。
そうだ、スオウの背に乗って飛んで行くのもありだよね。よし、飛んで行こう!
「スオウ、空に飛んで?」
『よし。主よ、落ちないようにしっかり掴まっておくんだぞ?
それでは我らは肉屋に行く』
空を飛ぶって気持ちいいんだなぁ。
スオウの背中はモフモフで気持ちいい、乗り心地最高!
そうこうしている間に肉屋だ。
下に降り、スオウは小さな子犬の大きさになり、私の後を追った。
「おはようございます。
依頼を受けてお肉を購入しに来ました。
おじさん、コレとコレの野菜を一緒に使うのですが、このお肉を購入しても大丈夫ですか?
良ければおじさんの意見も聞いた上で購入させていただきたいのですが?」
レイブンより大柄だけど、パパとドルバルの方が大きいかも。でも、おじさんの印象だけど……すっごくニコニコして気難しくないじゃん!
むしろ超優しいんですけどぉ。
「その野菜なら問題なく使っても大丈夫だよ。
お嬢ちゃんはエラいなぁ。お使いかな?」
「うん! さっきお野菜を購入したの。だから、この野菜とこのお肉が合うのか分からなくておじさんに聞いたの」
「おぅおぅ、エラいじゃないか!
最近は喧嘩っぱやい冒険者どもばかりでイライラしていたんだよ。
だが、今日はお嬢ちゃんの可愛い声と話し方に癒された気分だよ。
これはオマケだよ、また来てくれると嬉しいよ」
笑顔で小さな手を振ってお肉屋さん。後にした。
『んっ、あれは!!』
依頼が無事に終わり帰ってる途中で、スオウが元の大きさになり、空へと避難した。
「スオウどうしたの?」
『ルルナを害なす者が複数いる。
アレだ』
あの人たちは、忘れもしない。私を処刑すると言ってた人達だ。
「ルルナは神獣の主ではないと王から聞いた」
「やはり、ブリアン様が神獣の主か!」
「あぁ、そうだ。早くルルナを見つけて暗殺しなければならない」
神獣の主は私ではない、殺せ! と命令し、国王が差し向けたのは殺し屋だった。
「真の神獣の主はブリアン様だ。姉のルルナを見つけ次第処刑しろとのご命令だ」
その言葉に思考が一瞬止まったが、この人達は王が差し向けた刺客(暗殺者)だと分かり背筋がゾッとした。
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