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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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095.ピンチです。。。!タイプじゃないならほっといて?!


「“きょうと”のラボでさえもまだ一般向けに発表していない技術の物を何故この女が持っているのか。」


冷や汗に加えて、全身がゾクリとする。

まるで獲物だと狙われた小動物のように。。。


「尋問する理由と楽しみができましたねぇ。。」


ねっとりとした舐め回すような視線と声を感じる。


感覚を研ぎ澄ますと知りたくないことも感じてしまうのか。。。良いのか悪いのかわからない。。。!


「好みのタイプではないですが、たまにはこういうプレイも良いですよね。。」


タイプじゃないなら是非ほっといて!!

でもってプレイって・・・!


カチャン


おそらく牢屋の鍵が開けられる音がする。


「何するつもりだ?!」


何故か止めようとする盗賊A。グッジョブ止めて!!


「なんですか?そこにある拷問器具は要りませんよ?手一本で事足ります」


「指一本でも触れたら天雷のに殺られるぞ?!!」


その言葉に、何やら空気が変わっていく感じがした。


「・・・S級というのはまさか天雷の大吉。。。?」


なんか、知ってる風な口ぶり。。。?


「クククク・・・ハハハハハ!!!まさかこんなところで因縁の相手と間接的にとはいえ、まみえることになるとはね。」


嫌な予感しかしない。


「シロウ(かしら)はまだお目覚めではないですよね?」


「・・・あぁ。医師が言うにはもう半日は目が覚めないだろうと。。」


あのハゲ(かしら)シロウっていうのね。

って。。。


「それはちょうどいい。ならば何があったとしても貴方達盗賊団には関わりのないこととしなさい。」


こちらにくる。。。!!


「間接的にですが。天雷の大吉にはいくつか借りがあるので。。。一泡吹かせてやるのもやぶさかではないんですよね。」


捕まってしまった今。自分ができることは精一杯自分の身を守ること・・・でもどうやって?!

この身動きも出来ない状況で。。。!!


さっき奴が言っていた遠隔操作。。。できる者がいるというならやってやろうじゃない・・・!!


強く念じる。

“ベルカナ!!!”


突如、私を包む強固な結界が発動する。


アーティファクトが離されたらそう長くは持たないと思うけど!!


「「?!!」」


あのまま尋問されるよりは、と結界を張ってみたものの。これが良策なのかはわからない。。。!


バレたならもう目をつぶっている必要もあるまいと、目を開き、そこにいる人物達を見据える。


「・・・気づいていたのですか・・・」


目の前まで来ていた渋い声の主は、丸い眼鏡に白髪混じりの長髪を左肩で纏めてたらしていて。声から想像した通り、50代と思われる雰囲気だった。

身長は大吉さんより少し高めか、つる下げられてる私よりも目線が上だ。

こんな状況じゃなければ多分見惚れるほどの美貌なんだろう、いわゆるイケオジで。

着ている服は、どことなくちょっと派手なヨーロッパ系の神職者のような雰囲気のものだった。白いマントには金糸で豪華な刺繍が入っていて。下に着ている同じく白い詰襟に銀糸の刺繍はシンプルで荘厳な雰囲気さえ醸し出している。

この刺繍。。。おそらく着てるだけで身を守るような結界になってる・・・!

白い絹の手袋だろうか、それには何かエンブレムのようなものが金糸で刺繍されている。


男は結界に手を伸ばすが、阻まれて私に触れることはかなわず。


「・・・素晴らしい。」


その歪んだ笑顔が、命狙われることのない、平和な世界を生きてきた私を萎縮させるには十分すぎた。


悪寒と恐怖を怒りに返還するのも必死にならないと呑まれる。。。!


「グレイスさん、そのアーティファクト類は今すぐ宝物庫の方に保管しなさい。ここからは遠くて効果もそのうち消えるでしょう。

そして───いいですか、今からここで行われることは盗賊団には預かり知らぬこととしなさい。」


恐怖に支配はされるな私。。。!


盗賊Aグレイスは躊躇いながらも言われた通りにその場からいなくなる。


ちょっっっまって!!

いなくならないでよおおおお?!!


「貴方にはお聞きしたいことが山のように出てきましたが。。。その状態で返答は出来ないですよね。

ちょっと特別なアーティファクトを使わせてもらいましょうか。」


シャラリと懐から取り出したそれは、十字架の。。。多分アーティファクト。


「アンチアーティファクト」


冷たく放たれたその言葉と、手が触れたその瞬間、結界が綺麗さっぱり、一瞬で消え去る


「?!!」


「この特殊なアーティファクトは日に一度だけですが、さまざまなアーティファクトの効果を無効化することができるんですよ。」


ニヤリと嫌な笑い方をする。


く・・・足掻けるだけ足掻いてやる!!


“火よ。。。!”



大吉さんは以前言っていた。

あっちの世界から来たクゥさんも私もアーティファクト使用に関するポンテシャルが異常だと。

そんな人と関われて目の当たりに出来たことは、嫉妬半分尊敬半分なんだと。

何故かどこか誇らしげに。。!


遠隔可能距離の記録を塗り替えてやる!!


ぽぉぅ


マントの裾に火がついた。


「なに?!」


こちらを少しじっと見て、そのあと小さな火とを交互に見る


「まさかこの距離でも扱えるのですか。。。?!」


こちらを見たのは、私がまだアーティファクトを持っているか確認したのか・・・?


驚いた風にはしていたが、全く焦っていないように見受ける。


自分が焦っているからよーくわかる。


「先程1日1回と言いましたが・・・残念ですけど本当は3回なんです。」


そう言ってマントの裾を迷う事なく手繰り寄せ火に触れるほど近くに手をかざすと同時に言い放つ。


「アンチアーティファクト」


少々の焦げ跡を残して火は消える。


頭は良さそうだし、いやらしく意地が悪い。。

本当に3回かもわからない。。。

けど、さっきより奴の十字架の光が弱まってるのはわかる。


も一回・・・届け!!!


“ベルカナ!!!”


先程よりは随分と弱いが、出た!!


「チッ・・・無駄な足掻きを・・・

アンチアーティファクト」


あっという間に消されてしまうが、それでいい。

奴の十字架の光は確かに消えた。


「結構精神力がいるんですよ。コレ。。」


男は十字架を懐にしまい、前髪をかきあげて言った。


「まぁいいでしょう・・・

もう流石に届かないようですし・・・?」


伸びてきた手は私の顎を掴み上げ、目をのぞこんでくる


「・・・んっ・・・!」


猿ぐつわで“ん”しか言えないわ。


(無感情を装え。できるなら怒りは見せろ。

恐怖だけは感じさせるな!)


捕まった場合の講習もしてもらっといてよかった。。。


(それが吉と出るか凶と出るかはそいつの性癖次第だがな。。。)


余計なこと思い出した!!


「その目の雰囲気。それに匂いというかなんというか。。。あの女にそっくりですね・・・。」


あの女って。。。?


「そしてアーティファクト使用のポンテシャル。

貴女、あちらの世界からきましたね・・・?」


・・・?!・・・


涙目になりながらも好戦的な顔をしてはいるつもりだけど、今の言葉には驚きを隠せなかった。


どうしてそれを・・・?!

まさか・・・


「やはり・・・また扉が開いたのか・・・!!

あちらに帰るチャンスがようやく来たのですね。。。!!」


歓喜ともとれるその表情にはおぞましさしか感じられなかった。


「おや・・・」


そう言って顎をさらに上げられ息が詰まる。


「・・・!!・・・」


「何かまだアーティファクトの気配がする気がしますねぇ・・・」


「!!!」



顎を離され喉が解放されると少し咽せてしまう。


「・・・こふっ・・・ふっ・・・」


気づくと、また舐め回すように見られている


男は小さな刃物を出すと、私の首元のシャツにかけ、まっすぐ縦に引き裂いた。


「っっっ・・・!!!」


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